ツナグ (新潮文庫)

3.92
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本棚登録 : 11993
レビュー : 1450
著者 :
tsukiyomi777さん 11. 小説   読み終わった 

いろんな立場の人の感情を考えさせられる本だった。
死者との再会を望む者、再会を望まれる者、そしてそれをつなぐ者。

再会を望む理由もそれぞれで、人生でただ一度だけ死者との再会が叶うという条件が、再会を望む心を際立たせる。

最も尾を引いたエピソードは「親友の心得」。
近しい人に対する嫉妬、自分の感情をうまく処理できない苦しさ、ちょっとしたすれ違いから溝が深まること、相手から目を背けてしまうこと、相手が気付いてないなら自分の間違いはうやむやにしてほしいと思うこと…、自分にも覚えがある。
そしてこの主人公、嵐の場合はその嫉妬がある行動に繋がり、後の後悔に繋がっていく。
死者である御園との再会は、嵐にとって最後の、本当に最後の、御園と向き合うチャンスだった。
でも、向きあわなかったために、一生続くだろう後悔を背負うことになった。
この話を通して刻々と変わる嵐の心情描写はとても生々しくリアル。
もう彼女は私を親友とは思ってないだろう、という言葉が印象的だった。
二度と会わないからといって、二人の間にある大切なことから逃げてはいけない。「大切なこと」が大切であるという判断を、相手に委ねてはいけない。そこに、その人の人間性がでる。

でも、御園側に立てば。
直接は嵐に何も告げず、最終的に後悔を背負わせた。
自分が死んだ原因は嵐にはないと思われる言葉を残しながらも、嵐の行為を完全に許すことはなかった。
だから、挽回がきかない段階になってから本当の自分の感情の片鱗を見せた。
黒い、そして怖い…。
直接、自分の感情をあらわにしないところに、御園の闇を感じた。
でも死を味わったらそういった感情が湧いても不思議じゃないのかもしれない。


そして、死者は何のために存在するのか、という問いもまた、考えさせられた。
自分が生者の場合と死者の場合で答は違ってくるし、自分が死者の場合は死んだ理由によっても違ってくるだろう。

うーん。
時間をおいて再読したい。

レビュー投稿日
2018年2月18日
読了日
2018年2月17日
本棚登録日
2018年2月14日
5
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