開発途上国における経済開発と伝統文化の摩擦を、ポストコロニアル的な観点から考察している本です。
経済開発と西洋的な国民国家の創設を一つのものとしてとらえる見かたはしだいに行き詰まりを見せるようになりました。そして1960年代末になると、「従属論」が多大な影響をもつようになります。これによって、途上国の「低発展」が、先進資本主義国の「発展」と一つながりの現象であることが明らかになり、グローバルな資本主義システムの「周辺」に位置づけられているという歴史的経緯に「低発展」の理由が求められるようになりました。しかし、普遍的発展という西洋中心的な見かたを脱してそれぞれの文化の固有性に立てこもることは、新たな問題を生んでいると著者は指摘します。
具体的な事例をいくつか紹介し、それに基づいて議論を進めていますが、もうすこし理論的な背景についてもくわしく触れてほしかったように思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史・地域・文化
- 感想投稿日 : 2015年7月30日
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- 本棚登録日 : 2015年7月30日
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