ベルクソン哲学の遺言 (岩波現代全書)

著者 :
  • 岩波書店 (2013年8月21日発売)
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著者は哲学研究者ではなく、ソシュール研究で知られる丸山圭三郎の高弟です。本書は、哲学史のなかにおいて「生の哲学」の潮流を担った人物として紹介されるベルクソン像には見向きもせず、著者自身が長年にわたって愛読しつづけてきたというベルクソンの思想をストレートに語っています。

ベルクソンの遺言状と、『思想と動くもの』の「序論」として書かれた、ベルクソン自身による一種の自伝的な叙述を導きの意図として、彼を哲学の道へと連れ出した問題そのものへと読者の目を向けさせることに、本書の目的は存在するといってよいと思います。ベルクソンの思想といえば、時間の空間化を否定し、直観という方法を重視したといったしかたで説明されることが多いのですが、そうした整理をおこなう怠惰な知性のあり方を突き破っていくような思索のダイナミズムが、生涯にわたって彼の思想をつらぬいていたことが論じられています。

哲学的な概念の用いられ方に若干未整理なところも見られますが、概念の森に迷い込んでベルクソンの格闘した問題そのものが見えなくなってしまっている目には、かえって新鮮に感じられました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2018年6月28日
読了日 : -
本棚登録日 : 2018年6月28日

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