関係者の証言をつないでいく、ノンフィクションのようなスタイルで書かれたミステリです。
超高層マンション「ヴァンダール千住北ニューシティ」の一室で、一人の男が転落死し、さらに彼が住んでいた部屋からは3人の遺体が発見されたところから、事件が始まります。
事件のあった部屋に住んでいたのは小糸家のはずでしたが、その後、小糸家はローンを払えずにマンションを競売にかけられることになり、知り合いの不動産屋を頼って「占有屋」と呼ばれる人びとを部屋に住まわせていたことが明らかになります。
ところが、「占有屋」としてマンションに入った砂川一家は、じつは本当の家族ではなく、それぞれ失踪していた人たちの寄り合い所帯だったことが分かります。さらに、マンションを競り落とした石田直澄という男が、事件当日マンションから逃げ出したことが分かり、警察は石田の行方を追い始めます。
著者が、ストーリー・テラーとしてたいへん優れた才能を持っていることがよく分かる作品でしたが、家族についての著者の「思想」が、しばしば押し付けがましく出てくるところに少々辟易してしまいます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2014年5月12日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年5月12日
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