フランス現代思想に造詣の深い演劇批評家である著者が、さまざまな場所で発表した論文やエッセイを集めた本です。
巻頭の「演劇とは何か」は、『平凡社大百科事典』の「演劇」の項を書きあらためたもので、著者の演劇観がコンパクトに語られています。この論文で著者は、演劇を神話的想像力へと還元するようなすこし危うさを感じさせる議論の運び方をしていますが、これにつづいて収められている論文を見ると、かならずしも演劇の「起源」へと遡行することが著者のねらいだったのではなく、さまざまなエージェントが織り成すなかで「演劇」なるものが浮かびあがってくることを示そうとしていることが理解できるのではないかと思います。
また「「開聞・開眼」のこと」と題された論文は講座『日本の音楽・アジアの音楽』第5巻(岩波書店)に寄稿された文章で、世阿弥についての論考となっています。また巻末の「大いなる欠落―日本のおけるフランス演劇の受容」は、近代日本のフランス演劇受容史を簡単にたどりながら、とりわけ近代的なリアリズムを破壊するクローデルが、日本において受け入れられなかったという問題を指摘しています。
このほか、ノイマイヤーとベジャールのバレエについての批評文や、著者が演出を担当した作品の解説などの文章を収録しています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
芸術・デザイン
- 感想投稿日 : 2019年6月27日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2019年6月27日
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