竜五郎の庇護のもとを離れて、一人で東京の大学へ通いはじめた信介は、大学の先輩で演劇青年の緒方という男と知りあい、彼と共同生活を送ることになります。緒方の知人で、新宿二丁目の赤線地区で働くカオルという女性や、二人が暮らしている家の大家の娘たちとの交流を通じて、信介の若い心は揺さぶられます。その後、大学の体育の実技の授業を担当している石井という講師にすすめられて、信介は彼からボクシングの指導を受けることになります。
そんななか、故郷の筑豊から織江が東京へやってきます。しかし、東京で大学生として日々を送る信介と、喫茶店のウェイトレスとして働く織江のあいだには感情の齟齬が生まれます。
筑豊編の男らしい生きかたを志向する信介のすがたとは打って変わって、田舎から東京へ出てきたばかりの、純朴な青年といった印象の信介が、右往左往するすがたがえがかれています。とはいえ、これも青春小説らしい内容といえるのかもしれません。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2022年4月14日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2022年4月14日
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