日本思想史の中から、「自由」という概念をめぐる諸問題について論じている本です。
全体は二部構成となっており、第一章では、伝統的な「自由」の理解の背後に陽明学の影響があったことが、ややくわしく解説されています。つづいて第二章では、戦前と戦後を分断し、戦前には「自由」はなく、戦後になってはじめて人びとは「自由」を謳歌することになったという歴史把握を相対化し、戦前から戦後にかけての日本における「自由」というテーマをめぐるさまざまな思想史的文脈を掘り起こし、われわれの常識的な「歴史認識」を見なおす試みがなされています。
話題が多岐にわたっていますが、この国における「自由」とはなんであったのかという問題について考えるための、さまざまな切り口が示されているように思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2015年12月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年12月2日
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