山本五十六(下) (新潮文庫)

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本棚登録 : 423
レビュー : 36
著者 :
キじばと。さん 日本の小説・エッセイ   読み終わった 

下巻では、真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦を経て、ブーゲンビル島での死までを描いています。

上巻同様、たいへんおもしろく読むことができました。ただ、本書を読み進めながら、文学が戦争というテーマをあつかうということはどういうことなのだろうか、という疑問が沸きあがってくるのを押さえられませんでした。

さまざまな人びとの思惑が入り混じりながら、あらかじめレールが敷かれていたかのように戦争へと向かって日本が進んでいった時代に、指導者と呼ばれる立場にあった人物の心に迫るという本書の叙述は、思想的にはまったく反対の立場に立つはずの、広田弘毅をあつかった城山三郎の『落日燃ゆ』(新潮文庫)と重なりあってしまいます。

むろんそれが、両著とも戦争の真実に迫っているために必然的におなじような傾向をもつようになったのだとすれば、何も問題はないはずなのですが、個人的にはわれわれ日本人が「あの戦争」を振り返るという所作そのものが、よりいっそう大きな枠組みのなかに捕らえられてしまっているのではないか、と感じられてなりません。

「あの戦争」をどのように考えればよいのかということを考える前に、「あの戦争」へと向かうわれわれを規定している「戦後」という時代を、「戦後」を生きるわれわれ自身がどのように考えればよいのかということにも目を向けてみるべきではないのかと思わされました。

レビュー投稿日
2018年3月27日
読了日
-
本棚登録日
2018年3月27日
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