現象学入門 (NHKブックス)

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本棚登録 : 449
レビュー : 32
著者 :
キじばと。さん 哲学・思想   読み終わった 

フッサールの現象学を独自の仕方で受け継いだ欲望論の立場を標榜する著者が、みずからのフッサール解釈に基づいてその思想をわかりやすく説明している本です。

現象学はしばしば独我論だという批判を受けてきました。これに対して著者は、フッサールの立場は「方法的独我論」というべきものであり、批判は当たらないと主張します。フッサールは、主観が自分の外に出て客観的な現実との「一致」に到達できるという考えをしりぞけ、主観の中で「これが現実であることは疑いえない」という確信がもたらされる条件を突き止めることをめざしたのだというのが著者の解釈です。

この課題に向けてフッサールは、「現象学的還元」という手続きを踏んで、いっさいの認識の源泉となる「知覚直観」と「本質直観」を見出ことになりました。これは、知覚や本質といった「元素」からわれわれの認識が構成されているということではありません。そうではなく、知覚や本質が、主観にとって自由にできないものとして現われ、さまざまな現実を経験するわれわれの確信の基底をかたちづくっているというのが、著者の理解する現象学の方法です。

また、生活世界の現象学についての解説では、フッサール現象学からから著者自身のエロス論へと通じる道が説明されています。中期のフッサールは、さまざまな確信を成立させている意識の構造の解明をめざしていました。これに対して生活世界の現象学のプロジェクトでは、人間の具体的な生がさまざまな意味の統一として生きられていることの本質を取り出すことがめざされます。

さらに著者は、われわれの実践的な関心に応じた意味や価値の秩序を形成しているという発想がハイデガーによって展開されることになったと述べるとともに、そこから著者自身の提唱する欲望論の立場へと読者を誘います。

レビュー投稿日
2017年2月16日
読了日
-
本棚登録日
2015年4月2日
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