NHKブックス別巻 思想地図 vol.5 特集・社会の批評

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本棚登録 : 329
レビュー : 17
制作 : 東浩紀  北田暁大 
キじばと。さん 哲学・思想   読み終わった 

北田暁大が編集を担当している本巻では、この「思想地図」がめざしてきた、社会科学をはじめとする現代の学問の諸成果を用いて現代社会のさまざまな問題にアプローチする「社会の批評」の有効性と意義に対して反省のまなざしを向け、あらためて「批評とはなにか」という問題に正面からこたえようとする諸論考が集められています。

橋爪大三郎、永井均の論文は、これまでの両者の主張にもとづく議論が多かったのですが、これらについては想定の範囲内だったので、がっかりすることもなく、おもしろく読めました。一方、稲葉振一郎の論文「キャラクターをめぐる「批評」「社会学」「社会科学」」は、小田切博の『キャラクターとは何か』(ちくま新書)の批評で、稲葉の議論はまったく正しいと思うものの、なぜ稲葉がいま小田切の著書を批判する必要があるのかということがわからず、すこし不満がのこりました。北田の設定した本巻の意欲的なテーマに稲葉がどのようにこたえるのかということに期待をしていただけに、残念に思います。

経済学者である小島寛之の論文「推論の限界―経済危機を相互推論モデルで読み解く」と、統計学者である星野伸明の「統計学で社会を捉える―数理構造と可能性」は、いずれも統計的な手法によって社会を捉えることにまつわる問題があつかわれています。小島の論文はこうした議論になじみのない読者にも理解できるようにくだいた説明がなされていて興味深く読んだのですが、星野の論文はまったく歯が立ちませんでした。北田の紹介に書かれているように「分析者の思考の実現こそが統計モデルである」という興味深い話があつかわれているのですが、勉強しなおして再チャレンジしたいと思っています。

レビュー投稿日
2019年9月8日
読了日
-
本棚登録日
2019年9月8日
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