現代思想の冒険 (ちくま学芸文庫)

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本棚登録 : 619
レビュー : 46
著者 :
キじばと。さん 哲学・思想   読み終わった 

現代思想の簡単な解説と、それに対する実存の立場からの批判が展開されています。

現代思想は、反形而上学と、マルクス主義の社会思想の克服という、二つの重要なモティーフをもっています。反形而上学は、世界についての客観的な認識をめざした従来の哲学に対する批判であり、ニーチェの思想にまでその源をさかのぼることができます。一方、マルクスの社会思想の克服という面は、われわれが現代の社会システムの外部に立つことはできず、せいぜいそこで「戯れ」ることしかできないというニヒリズムを帰結しました。著者は、現代思想の主要な議論をこのようにまとめたうえで、現象学ないし実存哲学の立場から批判を展開しています。

近代哲学は、世界や自己についての客観的な認識をめざしていました。ところがフッサールやハイデガーは、こうした問題設定をまったく新しいものに変えたと著者はいいます。彼らが問うたのは、世界や自己についての了解はどのようにしてわれわれにもたらされるのか、ということでした。フッサールは、了解ないし確信が成立する構造を明らかにし、ハイデガーは、われわれがそのつど何らかの情態性に基づいて世界についての了解するとき、そこから意味やエロスを汲みあげていることを明らかにしたと著者は論じています。

さらに著者は、こうした実存の立場に立脚して、人びとの間で相互了解が成立するプロセスと、相互了解を通じて社会的なつながりから何らかのエロスを汲みあげようとするわれわれの「欲望」の存在を指摘し、ニヒリズムに陥った現代思想の社会システム論からの脱出口を見いだそうとしています。

レビュー投稿日
2014年2月19日
読了日
-
本棚登録日
2014年2月19日
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