「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を務めた著者が、日本の歴史について論じた本です。タイトルから通史的な内容を連想するかもしれませんが、著者の関心のあるトピックについてのみ取り上げられています。
日本を一つの文明として捉える観点が採用されており、中国や朝鮮半島からの文化的影響は限定的で、日本に取り入れられたものにしても、日本の主体的な選択がおこなわれていたということが語られています。一方、江戸時代に関しては、川勝平太の海洋国家論が踏襲されており、「鎖国」と呼ぶのは実情に合わないという議論が展開されています。
本書全体を通して、中国文明にしろ近代文明にしろ、普遍性を掲げる文明に対する懐疑的な見方が貫かれています。そこに、日本の特殊性を強調する排他的な立場を見る向きもあるかもしれません。ただ個人的には、人類の文明の普遍性に対する著者のペシミスティックな認識に強い印象を受けました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・地域・文化
- 感想投稿日 : 2014年5月17日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年5月17日
みんなの感想をみる