ヨーロッパの個人主義: 人は自由という思想に耐えられるか (講談社現代新書 176)

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  • 講談社 (1969年1月1日発売)
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戦後、日本人はヨーロッパの個人主義を取り入れてきたと思い込んでいたが、その個人主義理解がどれほど観念的で浅薄なものにとどまっていたかを摘発する。

ヨーロッパの「個人」は「社会」との厳しい緊張関係の中で育まれてきた。だが日本には、こうした力学は存在しなかった。日本にあったのは、無原則な集団主義と、そこからの逃避としての個人的エゴイズムにすぎない。

他方で、経済成長の実績に支えられて、いまや日本はヨーロッパを追い抜いたという論調も少なくないが、外国との比較によってしか自国を測ることができない日本の無原則性が露呈していると著者は見る。これに対して、ヨーロッパがみずから「西洋の没落」を言い立てているところに、著者は内発的なヨーロッパ文明の強靭さを見ようとしている。

「ヨーロッパ」や「近代」について私たちが抱いている幻想を克服し、現実をありのままに見つめようとする著者の文明批判および日本批判は深いと思うが、著者自身のヨーロッパ体験に裏打ちされている議論が多いので、どれほどの普遍性を持ちうるのか、少し疑問に感じるところもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般新書
感想投稿日 : 2013年3月24日
読了日 : -
本棚登録日 : 2013年3月24日

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