前回は犯人視点からの叙述ミステリ。
今回は『被害者』予定側の叙述ミステリ。
共通点は、それぞれの計画を碓氷優佳が邪魔をするということ。
かつての盟友の死に負い目をもっていた主人公は、その息子に殺されるため、経営する会社恒例の本人には内緒の集団見合いに彼を招く。
集団見合いを円滑に進めるための煽り役として、甥の安東(前作『扉は閉ざされたまま』に登場したお坊ちゃま)とその婚約者、および甥の後輩である碓氷優佳を招く。
主人公は殺されるためにいろいろ仕掛けを施していたのだが、何者かによってそれが次々に破壊されていく。
もちろん、優佳だということは読者は知っているわけだが、主人公もそのことに気づき恐れを抱く。
そして、前回と同じ「名探偵vs犯罪者」の対決が始まる。
この作品のトリックやロジックはそれほど目新しいものではないし、少々無理もあるが、この名探偵のキャラがかなり個性的だ。
謎を愛するわけでもないのに謎を追求し、モラルを重視してるわけでもないくせに犯行の邪魔をする。
今回はなぜ止めたのか、という理由は少し人間ぽいが彼女が最後にしたことは加害者の思いをどこまでも正しく理解し、そのうえをいく提案までしてみせるところが、やはり普通ではない。
劇中劇的なもので会社の中でよくあるハラスメントが出てきたが、似たような事例を個人的に聞いたり見たりしたのでよくわかる。
やるんだよな~。ほんとーにあんなしょうもないこと。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本格ミステリ
- 感想投稿日 : 2014年12月31日
- 読了日 : 2014年12月25日
- 本棚登録日 : 2014年12月31日
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