銃とチョコレート (ミステリーランド)

著者 :
  • 講談社 (2006年5月31日発売)
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本棚登録 : 4235
感想 : 628
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北村薫さんの『野球の国のアリス』で、装幀の美しさと
「かつてこどもだったあなたと少年少女のための」というコンセプトの
虜になってしまった、講談社ミステリーランドシリーズ♪

2作めには、最近気になっている乙一さんの作品を選んでみたのですが。。。

怖い!!。。。何が?って、挿絵が!
パトレイバーや攻殻機動隊の背景を担当した平田秀一さんの作品なので
完成度が高いのはもちろんなのだけれど、悪党のみならず
主人公リンツの優しい母メリーでさえも、悪夢に出てきそうな表情で、
子どもの頃の私だったら、ぜったい手に取ることさえできなかったに違いない!
と断言できる怖ろしさです。

物語のほうも、著者名がなかったら
翻訳された外国の少年向け冒険小説と見紛うようなきっちりと構築された世界で、
リンツ、ゴディバ、ロイズ、ブラウニー、メリー、ゴンチャロフなどなど
チョコレートに纏わるおいしそうな名前の登場人物が波乱万丈の冒険を繰り広げます。

いけすかない大金持ちからだけ盗む怪盗に名探偵、宝の地図、と
子ども向けならではの夢のある設定ではありますが
移民への差別や手ひどい裏切り、子どもだろうと斟酌しない暴力など
針金よりひ弱な精神の私にはかなり堪える部分もあって

黒乙一さんがお好きな方には甘いミルクチョコレート、
初めてミステリを読む小学生には苦いビターチョコレート、
という味わいの作品なのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あ行の作家
感想投稿日 : 2012年10月6日
読了日 : 2012年10月6日
本棚登録日 : 2012年10月6日

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