凍りのくじら (講談社文庫)

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本棚登録 : 12978
レビュー : 1581
著者 :
まろんさん た行の作家   読み終わった 

ここしばらくは辻村深月さんを読み続けよう!と決意させてくれた作品。

本を読むことで自分が構築されたと自負し、思考に特化することで、いつも遥か高みから周りのみんなを見下している理帆子。

自分の頭の良さを自覚している早熟な少女にありがちな自意識過剰ぶりには目をつぶるとして、目上の人やお世話になっている人までも心の中では呼び捨てにしている彼女に、前半はなかなか感情移入できなくて苦しみました。

でも、素直に語りあえる相手となる別所あきらに出逢い、母との別れや自分の不遜さが招いた事件を通して、「ほんとうは誰かと繋がりたい自分」に目覚めていく後半は、どんどん理帆子がいとおしくなってきて・・・

考えてみたら、小難しい本をいっぱい読んでいても、愛読書ベスト1に「ドラえもん」を挙げる理帆子が、根っこに泣きたくなるような純粋さを抱えているのは当然といえば当然だったんですね。

おとうさんと、敬愛する藤子先生と、ドラえもんの愛に満ちた「テキオー灯」に照らされた理帆子が、写真を通して同じようにあたたかい光を、少しでも多くの人に届けられますように。

レビュー投稿日
2012年4月18日
読了日
2012年4月18日
本棚登録日
2012年4月18日
4
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『凍りのくじら (講談社文庫)』のレビューへのコメント

円軌道の外さん (2012年5月25日)


うわぁ〜
コレ何回読んだかな〜(笑)

まろんさんと同じく
自分も理帆子のキャラに馴染むのに
時間かかったけど、
中盤から後半は
ドキドキしながら
一気読みしてしまいました。

自分もこの作品で
どっぷり辻村さんにハマったんですよね〜(^O^)

彼女の作品って
本当に心理的描写が鋭くて、
毎回引きつけられるし、

きっと辻村さん自身、
かなり繊細な方なんだろなって勝手に想像してます。


この作品とリンクしてる
「ぼくのメジャースプーン」
も大好きな作品です。


まろんさん (2012年5月25日)

うんうん、あの理帆子の心理描写のリアルさからして、
辻村さんは、自分の頭の良さとか溢れだすほどの自意識に
かなり苦しむ十代を送ったんだろうな、と思います。

みんなが夢の道具として迷わず挙げる「どこでもドア」を
どんな集団にでも広く浅く仲間入りできることの淋しさと結びつけて
表現しているところとか、独特の感性ですばらしいですよね。

『ぼくのメジャースプーン』って、この本とリンクしてるんですか?!
ぜったい読まなくちゃ♪
いつも貴重な情報をありがとうございます(ノ^∇^)ノ

kwosaさん (2013年5月19日)

まろんさん!

『凍りのくじら』
これまた素晴らしい本でしたね。
読み終えて圧倒され過ぎて、自分の中ではまだうまく消化できず、今後も繰り返し読むことになりそうです。

この物語は「名前」もひとつのキーワードでしたね。
父の思いを込めた「帆」の字。
そして母の遺言ともなった、娘に向けた「帆」というタイトルの文章。
「あの光」を浴びたとき、忘れていたひみつ道具と父の名前を思い出し、両親に愛された記憶と共に「帆」の字も思い出し、少し不在だった「りはこ」は、「理帆子」として現実世界にテキオーし定着した。

名前を忘れたら戻れなくなる。
『千と千尋の神隠し』をちょっとだけ思い出しました。

そういえば、名前の入った巾着袋は大切なものでしたし、普段は「リホリホ」だった美也も、真剣に向き合う時は「りほこちゃん」でしたね。

あと、ちょっとだけ出てきた「ふみちゃん」のその後は、幸せであってほしいと思いました。

まろんさん (2013年5月21日)

kwosaさん!

大好きなこの本に素晴らしいレビューを書いてくださって、本当にありがとうございます。

「名前」に込められた辻村さんの意図、
確かに『千と千尋の神隠し』に通じるところがありますね!
両親が愛情を込めてつけてくれた名前の意味も温かい記憶に忘れていた理帆子は
まさに「名前を忘れたら戻れなくなる」状態にあった。
『千と千尋の神隠し』をここに挙げてくださったことで、
あの感動的なラストがさらにストンと腑に落ちた気がします。

ちなみに私、巾着袋を縫ってくれた多恵さんがとても好きなんです。
おおらかで、あったかくて、さりげない気配りができて、私にとってまさに理想の女性です。
そんな多恵さん、理帆子、ふみちゃんたちに再会できる
辻村さん作品がまだまだ待ち構えていますので、
kwosaさんに早く読んでいただきたくて
そしてまた素敵なレビューを書いていただきたくて、うずうずしています(*'-')フフ♪

まろんさん (2013年5月21日)

kwosaさん!

「温かい記憶に」じゃなくて、「温かい記憶も」と書いたつもりだったのですが。。。
「に」じゃ意味が通りませんよね、いつもながらソコツな私です。。。

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