箱庭図書館

3.69
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本棚登録 : 3925
レビュー : 582
著者 :
まろんさん あ行の作家   読み終わった 

なにが凄いって、この装幀!
今年に入って読んだ本の中では、間違いなしのベスト1です。

乙一さんが、6人の読者のボツ原稿をリメイクし、巧みに繋げた短編集。
これにTwitter経由で『箱庭図書館』とタイトルをつけたゆーまさんという方も凄いけれど
物語の内容と、このタイトルを、まるで身体にぴったり馴染んで
水の抵抗さえなくしてしまうハイテク水着のように包み込む、装幀の素晴らしいこと!

リメイク作品を繋げて書籍化するという大胆な試みを「実験」と捉えて
無菌の実験室のような白い背景に、図形化された均一な文字が配置され、
でもその文字のそれぞれに、エッシャーのだまし絵を思わせるような
立体の空間がさりげなく繋がっていて。
「乙一」の文字も無機質な図形に転換されて横から見ると、英語の「IN」と読めて
まるで「この箱庭に入ってごらん」と呼びかけているかのよう。

本文が印刷されている紙まで、単行本には珍しいほどの目に眩しい白で
「おお、ここまで実験室のイメージを意識してるとは、すごいなぁ」
とひたすら感心していたら、なんと6篇めが『ホワイト・ステップ』。
無機的な実験室の白が、降り積もるやさしい雪の白さに一瞬で塗り替えられました。
もう! 乙一さん、油断ならない作家です。

テイストも癖も全くバラバラの6篇を、持ち味を損なわないよう
愛すべきキャラクターとキーアイテムで魔法のように繋げて
「ここはどうなってるの?」と細部まで覗いてみたくてたまらないような
緻密な箱庭を作り上げてしまう。

本の虫を自認する読者なら好きにならずにはいられない、
本を読み耽っていて遭難しかける図書館員の潮音に会いに。
「物語を紡ぐ町」文善寺町の小さな通りを散歩しに。
降り積もった雪にかじかんだ指が綴る文字の、温かさを知るために。
どうかあなたも、この箱庭図書館を訪れてください。

レビュー投稿日
2013年3月14日
読了日
2013年3月12日
本棚登録日
2013年3月14日
23
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『箱庭図書館』のレビューへのコメント

だいさん (2013年3月15日)

今回のレビューは冴え亘っていますね。
>エッシャーのだまし絵
の表現のごとく、言葉が回遊している。
とても楽しいです。

今回のNo1は、
「ハイテク水着」。
本当は「ハイレグ」の方が好きですが…

まろんさん (2013年3月15日)

だいさん☆

「ハイテク水着」が、そんなにお気に召したとは♪
「ハイレグ」になってしまうと、
本のカバーに切り込みを入れないといけなくなってしまいますね(笑)

ボツ原稿をリメイクして繋げてしまうという実験が
とても面白くて、乙一さんの遊び心と力量を感じる本でした(*'-')フフ♪

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