80年代、「あ!あれはなんだ?!」の台詞も高らかに、探検隊が秘境に踏み込み
奇想天外な冒険を繰り広げる某番組を心待ちにしていた男の子たちには、
懐かしさがこみ上げる本かもしれません。
テントに侵入し、襲いかかるサソリ!(ただし、ゴム製)
頭上から飛びかかってくる蛇の大群!(ただし、竿に括り付けた籠の中から)
洞窟の奥に出現する、頭を3つ持ち、金色に輝く伝説の大蛇、ヤーガ!
(ただし、コブラとニシキヘビを束ね、カラースプレーで着色した手作り品)
番組を盛り上げるためになら、多少の(というより、最大限の?)演出は厭わず
自分達を人質として拉致した反政府ゲリラまで巻き込んで
胡散臭さ満載の映像を撮りまくる探検隊に、クスクス笑いっぱなし。
戦闘服を脱ぎ、急ごしらえの腰蓑を巻きつけて撮影に協力してくれたゲリラのため
ハリボテや撮影用の照明機材を駆使して、警官隊と戦い始める彼らの
ほとばしるような情熱の行先がいったいどこなのか、
本人たちにも読者にも、だんだんわからなくなってくる狂騒ぶりが、
いかにも荒木源さんらしい。
そんな時代の熱を、彼らのその後も交え、可笑しく、そしてほろ苦く描いたことで
『アメリカン・グラフィティ』ならぬ『昭和のテレビクルー・グラフィティ』と
副題をつけたいような作品に仕上がっています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
あ行の作家
- 感想投稿日 : 2012年11月21日
- 読了日 : 2012年11月21日
- 本棚登録日 : 2012年11月21日
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