るり姉

著者 :
  • 双葉社 (2009年4月15日発売)
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本棚登録 : 389
感想 : 86
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恋人でも、片想いの相手でも、家族でも、
親友でも、近所のおじさんやおばさんでも。
大好きなひとがいるって、とても幸せなこと。

『るり姉』というタイトルですが、るり姉の物語ではなくて
るり姉という太陽の周りを、離れがたくぐるぐる廻る惑星のような
姪っ子三姉妹と、実の姉と、夫の物語です。

無邪気で、天然で、感激屋のるり姉を、みんなが好きでたまらない。
でも、その「好き」の伝え方が、姪っ子三姉妹でいえば

しっかり者の長女は、るり姉好みの言葉をカードに綴って送ること。
天邪鬼な次女は、「腐った赤キャベツ色の髪」を「ばかだね」と叱ってもらうこと。
天真爛漫な三女は、るり姉にかかれば魚も空を飛ぶと信じ、ひたすら甘えること。

というふうに全く違っていて、
そこにひとりひとりの個性が透けて見えるのが、とてもいいのです。

精神科病院に勤め、患者の「茅ヶ崎ヒューヒュー」が仕掛ける意地悪と戦い
『花とゆめ』を読み、時々はこっそりアニメイトに寄り道することで疲れを癒す
三姉妹の母で、るり姉の実の姉であるけい子や
結婚した今でもるり姉にゾッコンで、彼女のためなら
大好きな龍や鷹の刺繍が目に眩しいヤンキー服も、涙ながらに捨てる
二度目の夫のカイカイも、駄目さ加減がかえっていとおしい。

そして、みんなの太陽だったるり姉が放つ光を、病魔が翳らせたとき
惑星のように光を受ける一方だった彼らが
プライドも拘りも、年頃の反抗心も、すべてかなぐり捨て
なんとか自分なりに輝いて、るり姉の希望の光となろうとする姿に胸が熱くなります。

その人に何か起こったとき、奇跡を起こしてでも助けたいと思う。
そんな誰かを心の支えにして、誰もが生きている。
大切だと思える人がいる幸せを忘れそうになったら、読み返したい本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: や行の作家
感想投稿日 : 2013年2月18日
読了日 : 2013年2月16日
本棚登録日 : 2013年2月18日

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