幸福ロケット

著者 :
  • ポプラ社 (2005年11月1日発売)
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本棚登録 : 552
感想 : 129
5

素敵です!オススメです!
古書店で105円で買ったことを土下座したくなります!

父の転職に伴い、小石川からお花茶屋に引っ越してきた小学5年生の香な子。
暇さえあれば本を読んでいて、
クラスメイトのとんちんかんな行動には、心の中でシニカルなつっこみを入れ、
5年2組の女子の中では8番目にかわいい、ダイエットすれば5番にはなれる、と
奥ゆかしくも冷静に自己分析できちゃったりする。

この香な子も傑作なのだけれど、
お花茶屋お嬢様軍団(命名by香な子)No.1美少女の町野さんに熱愛される、
香な子の隣の席の男の子、コーモリが素敵すぎて!

ジブリの『崖の上のポニョ』の宗介が育ったらこんな感じかな、と思わせるような
さりげないやさしさを秘めた男気に、凛々しい眉毛♪
娘の初恋の相手がこんな男の子だったら、諸手を挙げて応援するのに!
(もう手遅れなのがかなしい。。。)

よそ見をして先生の注意を受けた香な子のピンチを機転とユーモアで救ったり
往復2時間かけて小石川の塾に通う香な子の帰る時間に合わせ、
偶然を装って乗り換え駅から合流して夜道を家まで送ったり
「本を読むのも楽しいけど、本について山田と話すのも楽しいもんな」
「だからおれは本を読むんだとおもう」なんて言っちゃったり
もう、きゅんきゅんが極まって、気を失ってしまいそう。

上司の不正に巻き込まれて転職を余儀なくされても、腐らず呪わず
「お父さんの未来にはいつもカナがいる」と香な子をおおらかに見守る父や
重い病気を抱えながら、入院先のベッドで
11歳のユウキ、12歳のユウキ、と息子の未来の似顔絵を描き続けるコーモリの母を始め
ふたりを取り巻く家族や先生も、とてもいい。

香な子が、生まれつき持たされた三つの不幸だと思っていたうちのひとつ、
よりによってクリスマス・イヴという、誕生日。
11歳になるその日に、コーモリがプレゼントしてくれた言葉に
香な子は泣いていないのに、いい大人の私がぽろぽろ泣いてしまう
爽やかで、まっすぐで、いとおしい物語です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: や行の作家
感想投稿日 : 2012年11月8日
読了日 : 2012年11月7日
本棚登録日 : 2012年11月8日

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コメント 4件

しをん。さんのコメント
2012/11/09

>素敵です!オススメです!
古書店で105円で買ったことを土下座したくなります!

沢山本を読んでらっしゃるまろんさんが自信を持ってオススメする作品なら気になります~♪´´


ということで、図書館で予約してしまいました(●^o^●)
届くのが、楽しみです(*^_^*)

まろんさんのコメント
2012/11/10

おお!紫苑さんが早速予約してくれたなんて、うれしいです(*'-')フフ♪

もう、このコーモリくんが、小5とは思えないほどの男気と覚悟を秘めているのに
初恋に関しては、抱きしめたくなっちゃうくらい純情で♪
香な子のシニカルなモノローグも、
コーモリに猛烈なアプローチをする町野さんの勘違い美少女ぶりもとても楽しく、
クスクスしているうちに感動のラストへ、という心洗われるような本なのです。
紫苑さんも気にいってくださるとうれしいです(*'-')フフ♪

kuroayameさんのコメント
2012/11/11

私も以前この本を読んだのですが、もう心にあたたかな気持がこみ上げてきて、特に相手のことを思いやる心が本当に良かったです。
いつも会社の生き返りに読書タイムしているのですが、地下鉄の中で涙がこみ上げてきて、私の好きな本の一冊です♥。

まろんさんのコメント
2012/11/11

kuroayameさん☆

わかります!出てくる人みんなが、思いやり深くて
しかもそれをこれ見よがしに出さないところが素敵ですよね。
ラストは駅でのシーンだったから、地下鉄の中で読んでいたのだったら
今じぶんがいる風景と本の中の風景が重なって
感動がさらに深まったでしょうね。
それにしても、山本幸久さんって、もっと評価されていい作家さんですよね♪

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