リボン (一般書)

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本棚登録 : 1018
レビュー : 144
著者 :
まろんさん あ行の作家   読み終わった 

ひとりっ子で、しかもひ弱で、あまり外で遊べなかったので
犬や猫から小鳥・栗鼠・亀まで、いろんな動物に寄り添ってもらって生きてきました。
その中にはオカメインコもいて、まるで私のひ弱さが伝染したかのように弱弱しい子で
ほんの短い間しか一緒にいられませんでした。
そんなわけで、表紙の中からこちらをきょとんと見つめる
オカメインコのつぶらな瞳に、いきなり胸がきゅんとしてしまって。

小学生のひばりは、おばあちゃんでもあり、大親友でもあるすみれちゃんと一緒に
何の鳥のものかもわからない小さな卵をみっつ、見つけるのですが。。。
壊さないようそうっと☆と〇と〒のしるしをつけてもらい、
すみれちゃんの髪の毛の中で、大事に大事に卵たちは温められるのです。
昔の少女小説の住人のように、可愛らしい秘密を共有して卵を孵し
生まれてきたオカメインコのりぼんを慈しみ育てるふたりの日々の
なんと甘やかで、やさしい光に満ちていることか。

やがてりぼんは飛び立って、さまざまな人の人生に関わりながら旅をする。
その間、歳月はすみれちゃんやひばりにも、病や喪失や諦めや
あの幸福な日々には兆しさえ見えなかった、いろんなものを連れてくる。

でも、すみれちゃんの髪の毛という温かい巣を離れ、つらい目にあって
「鳥のいえ」に保護されたりぼんを、隣の鳥籠からやさしく語りかけてくれた
ヨウムのおばさんの言葉がその後もずっと支えてくれたように
大切なひとや大切なものと一緒に過ごした光あふれる日々、
自分を慈しんでくれた人の記憶、誰かを何かをまっすぐに愛した記憶は
「こわくないよ」と、大人になったひばりの背中を押すのです。

人は誰も、遅かれ早かれ温かな巣を飛び立つ日を迎えます。
幸福感に包まれたいくつかの瞬間を抱きしめながら精いっぱい生きて
やがては誰かにそんな瞬間をお裾分けできるようになったらいいなぁ。
ちいさな幸福を、細く長く、リボンのようにつなげていけたら素敵だなぁ。
表紙のりぼんにもう一度見つめられながら、そんなふうに思いました。

レビュー投稿日
2013年7月23日
読了日
-
本棚登録日
2013年7月6日
23
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