やきそば三国志

  • 文藝春秋 (2001年7月24日発売)
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挑戦すれば、いつか変えることができる。

チルドやきそばでスーパーの棚を争う3社の物語だ。
目玉商品として安売りの対象となる3食パックの焼きそば。
そこには価格競争しかないと思われていた。
食でありながら、味は求められていない。
関係者たちがそう思い込んでいた。
しかし、挑戦し続ければ、いつか新しい市場は開拓される。
本物への戦いは、その情熱は止めなければいつか変わっていく。

大冊だ。泥臭い物語だ。
しかし、読み進めてしまうのは
日常の繰り返しの中に、ポトンと落とされた思いが
揺り戻されながら、少しずつ新たな地平を垣間見る。
その醍醐味が魅力的だからだ。
地味だが、コツコツと行う。
その根底には、本物への情熱がある。
そうした情熱がいつか変えていく。
大げさに言えば、人類の歴史とは
そうしたトライアンドエラーの積み重ねなのだ。

例えば、アサヒビールのスーパードライ。
当時、ビールは味を変えても売れないとされていた。
しかし、今やスーパードライはトップシェアだ。

常識は頑固な岩かもしれない。
しかし、その岩もいつしか、変わっていく。
それを描くためには、この厚さが必要だったのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年12月29日
読了日 : 2013年12月29日
本棚登録日 : 2013年12月29日

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