性と法律――変わったこと、変えたいこと (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314615

作品紹介・あらすじ

DV防止法、児童虐待防止法、セクハラに関する規定など、近年、当事者側の声から生まれた法律等がある一方、民法、刑法、売春防止法等は、長年、変わっていない。離婚、親権、賃金差別、性暴力…四〇年近く弁護士としてさまざまなケースに携わってきた著者が、性をめぐる法の問題点を明らかにし、未来に向けて提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 古い本で、あまり目新しい点はなかった。
    同じ法律でも弁護士の気分次第で対応が変わるという恐ろしい現実がよくわかった。裁判官の公平性は何としても守らなければならない。

    阪神大震災で家の下敷きとなったのは女が多かったが、これは男女差別の結果らしい。ホントかな〜?

  • 女性の人権

  • 女性弁護士でもある著者が、性をめぐる法の問題点を指摘する。DV防止法、売春防止法、男女雇用機会均等法など、具体的な法をトピックスとして、そこに潜む課題を浮き彫りにしている。ただ感情的に意見を述べるのではなく、弁護士らしく論理的に展開されることから、男性が読んでも腑に落ちるところが多々あった。
    色々な法律を取り上げる中で、著者が最も主張したいのは「男性が作った法律と現代社会とのズレ」であり、その結果「女性たちの声が抑圧されてきた過去と現実」に尽きるだろう。子どもを産んでも働き続けることができないという女性だけの不利益や、性暴力の被害に対して親告罪が適用されるという現実、売春を行う女性の多くは経済的理由によるといった事実など、多くの人が“男女平等”を口にする現代においても、女性に過度な負担を強いる社会環境であることは否めない。それは法整備が追いついておらず、行政としての取組みも遅れているからである。男性も女性も“男女不平等”の認識を持ちながらも直視していないだけであろう。本書でも触れられている、密室で売春が繰り広げられているという暗黙の了解と通ずるところがある。
    著者のような女性が声を上げていくことで、少しずつであろうが社会は変容すると思う。しかし、そのような社会の到来はスティグマに晒された多くの女性たちの上に成り立つのだろうと感じた。

  • 1 結婚、離婚と子ども
    2 ドメスティック・バイオレンス
    3 女性が働くとき
    4 性暴力
    5 セクシュアル・ハラスメント
    6 売買春と法

    著者:角田由紀子(1942-、北九州市、弁護士)

  • 女性の権利や法的問題についての歴史と現状。

    問題点の認識や、考察の土台として有益。

  • 本書では、性に関わる法律を扱っている。
    民法という、我々にとって一番身近な法律から、DV防止法、刑法、売春防止法、風営法など「自分には関係ない」と思っている人が多い法律まで様々なものを取り上げる。
    法律、というと小難しくてよくわからないと思う読者も多いかもしれないが、本書はとてもわかりやすい。
    コラムとして各法律の条文が挙げられている点や、身近な事件、判例が挙げられている点が良い。
    著者自身が弁護士として実務に携わっているし、法科大学院で教え、しかもなんと法律を専門に学んでこなかったというのだから、すばらしい。

    さて、わが国では政治に女性が関わることが少なく、なかなか女性側の視点に立った法律が制定されない。
    度々国際機関から勧告を受けているのにも関わらず、遅々として(というか全くと言っていいほど)進まない。
    今秋、夫婦選択的別姓の裁判の最高裁判決が出る予定だが、果たしてどう出るか。
    司法の判断を待ちたい。
    とは言っても、仮に違憲である旨の判決が出たとしても、三権分立だからといって、恐らくいまの政権は改正に踏み切ることはしないだろうが。

    現政権は女性の活用ということを声高に叫んでいるが、全くもって不十分だ。
    本書に書かれているように、養育費の支払いを逃れる方法、性産業従事者が減らない理由、強姦罪の構成要件、その他もろもろの解決に向けて我らの代表は必死になっているのか?
    女性優遇、ではない。
    ポジティブアクションに向けて彼らは何をしているのか?

    一方で女性の側にも様々な考えがあり、その考えが彼女達自身を縛っているとも言える。
    その代表的なものが、性暴力や売春だ。
    肌の露出が多かったから、性に奔放だったから、被害にあっても仕方ない、という考えがまだあるように思う。
    著者はそれを問題のすり替えとし、事実を隠し社会が負うべき責任を放棄していると言い切っている。

    本書で書かれている問題は男女双方の問題だ。
    社会で生活している以上、不都合が生じ、それをなくすために法律はある。
    そして、それはどちらか一方の考え方だけでは「正義」とはなりえない。
    時代は変わる。
    社会は変わる。
    性の問題を通して、「人間が人間であることを喜べる社会」(132頁)の実現を望み、私自身も尽力したい。

  • S367.9-イワ-R1461 300323110
    (岩波新書 新赤版 1461)

  • 問題意識は完全に正論だが、最終的に男性批判におちついて、わりとそのせいで相手されないんじゃないかと思う

  • 女性の立場が、改善した歴史が浅いことが良くわかる。
    司法も、男性目線だった歴史が長い。
    各方面への、女性進出が必用不可欠。

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著者プロフィール

1942年生まれ。75年に弁護士登録。80年代後半からセクハラや性暴力被害の問題に取り組む。第2東京弁護士会所属。著書『性と法律』(岩波新書・2013)、『性差別と暴力』(有斐閣・2001)、『性の法律学』(同・1991)。なお、最新刊に『脱セクシュアル・ハランスメント宣言──法制度と社会環境を変えるために』(伊藤和子氏との共編著・かもがわ出版・2021)。

「2021年 『戦争と性 34号 特集:性暴力のない社会へ──「自分ごと」として考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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