ギデンズとの共同研究を渡辺さんが書き下ろした本です。以前から、第三の道は日本のあるべき姿だと捉えていましたが、現状、民主党政権が誕生した今、何をなすべきか、大目標が見えない中の支柱になりうると思います。
基本的には、ギデンズの「第三の道」を踏襲していますが、その過程はおのずと日本と他の西欧諸国とは異なるといいます。日本は本格的な市場主義もとったことがないし、逆に福祉国家をとったこともない。そのため、小泉政権が市場主義に舵を切った時に、一気にワーキングプアなどの増大をもたらしたと整理しています。そのため、日本は規制改革(市場主義)と福祉改革を同時に行わなければならないと結論付けています。
その福祉改革では、「ポジティブウェルフェア」という考え方を基調に、就労のための福祉を目指します。あくまで福祉は一時的な措置であり、健康な状態の大人であれば、就労すべきというのが基本にあります。そのために、就労環境を整えたり、能力開発プログラムをコーディネートするのが政府の役割だといいます。
英国では、就労支援を広範に民間委託しているようですが、基本的に就労したかどうかという明確な成果指標に基づき、以下のような時期に報酬を与えるようです。
・就職活動を開始した時点
・職業訓練を開始した時点
・職業訓練を修了した時点
・就職した時点
・半年経過した時点
私が考える日本が取り入れるべき政策形成の視点は、以下のようなものでしょう。
1.政府は一時的に税金を投入しても、「損して得とれ」的発想を持っていること
2.そもそも人間は受益するだけの存在になれば堕落するという性悪説に立った制度構築
- 感想投稿日 : 2009年12月5日
- 読了日 : 2009年12月5日
- 本棚登録日 : 2009年12月5日
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