1960年代に巻き起こった学生運動をいま同世代の著者(23歳)がなぜ一大ムーブメントにまでなったのかを他者との関係性や肌感覚、いわゆる「リアル」から読み解いている本です。
中心人物以外目的はどうでもよかったわけで、肌感覚の生きている実感、みんなとの連帯感を得たいという思いはきっといまも昔も変わらないんだろうと。地方から都市部に出たもののそこは疎外された人と人がかかわりにくい都市空間にあった学生が運動に流れていく気持ちはわからなくもないかなと思いました。
しかしながらどこまでも人と人とは皮膚によって分け隔てられた他人なのであって同化することはないことも事実です。運動のあとはまた孤独がやってきてどうしようもなくなる、その繰り返しなのだろうと推察します。「連帯を求めて孤立を恐れず」はこの文脈で理解できるとの指摘は思わず納得。
また肌感覚のぶつかり合いを求めていたからこそ、拳銃や刃物ではなく、ゲバ棒だったのだと。その意味では目的に忠実だったのは過激化した連合赤軍のほうで、なぜ大多数が過激化しなかったのかは結局目的よりも肌感覚のぶつかり合いを重視したからだと指摘します。
久しぶりにこういう本を読みましたが私の考えとも近く非常に面白かったので、星5つです。いま人との関係で悩んでいる人こそ読んでほしい、そんな一冊です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
思想系
- 感想投稿日 : 2011年12月24日
- 読了日 : 2011年12月23日
- 本棚登録日 : 2011年12月23日
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