The Long Goodbye (A Philip Marlowe Novel)
- Vintage Crime/Black Lizard (1988年8月12日発売)


別にカタルシスを感じるわけではない。感情移入もちっともできない。それにも関わらず読むのをやめることができない。
どんな社会でも、いかに自由奔放に振る舞っても、どうも人間はなにかしら抑圧的に生きるものらしい。Marloweが他の誰にも似ないヒーローでありうるのは、この抑圧に対する対峙の仕方ではないかと思う。
反社会的であったり、功利の真逆に走ったり、そういったものは結果であって、彼は独自の規矩に沿って行動している。道徳でもなく、利己でも利他でもない、「そうせずにはいられない」といった感覚。
すべてのことに対してそんな感覚を貫けるわけがない。けれど、その一線をどこに引くか、それを意識することで、彼の強さの源泉に触れられる気がする。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学・小説
- 感想投稿日 : 2011年6月30日
- 読了日 : 2011年6月6日
- 本棚登録日 : 2011年2月27日
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