ディジタル回路設計とコンピュータアーキテクチャ

  • 翔泳社 (2009年8月1日発売)
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感想 : 2
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「コンピュータなんて0と1を計算してるだけだよ。」この本を読めば自信を持ってそう言える。
初めてそれを聞いて納得できる人はいないでしょう。何度聞いてもピンとこないでしょう。プログラムが書けてもなんとなくしかわからない人も多い。だから、Pentium IIの設計者に「0/1から始めて、CPUの基礎を3週間で、5000円で教えてあげよう」と言われたら、冗談だと思うでしょう。まったくの基礎からMIPSアーキテクチャとその実装まで、多くの面白い演習を経てこんなにわかりやすく説明してくれるのは贅沢。

「交通事故の多い交差点の信号をどう制御するか」といったものでもいい。なにか問題を解決するために、問題を数値化し、論理的に解決したい。そのためにCPUを実装し、より複雑な、さまざまな問題を、速く安く解くためにはどう改善すべきか。その分野の第一人者はどのように問題を捉え、考えるのか。どのような手段があるのか。実際の速度やコストはどうなるのか。
そういったことを考えながら読み進めるうちに、いつの間にかPentiumのような最新のプロセッサの動作を理解している。抽象的な言葉や概念の理解・記憶ではなく、学んだことを辿るとAND、OR、NOTがどう組み合わされているのかまで考えられる。

「学ぶための本質的な手段は、手を動かすことである。」
この気概は嘘ではない。ひとつの体系を、効率的に身につけることができる。

あまりにも誤植が多いけれど(数十カ所みつけた。校正はなにやってたんだ)、それすらも楽しめるくらいの名著。 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: IT・技術
感想投稿日 : 2011年6月30日
読了日 : 2011年6月29日
本棚登録日 : 2011年6月12日

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