伊藤之雄『大正デモクラシー 民衆の登場』岩波ブックレット、読了。日比谷焼き討ち事件から労農の分裂まで。大正デモクラシーの歩みを、国内政治・経済・社会の民主化、差別の克服、中国朝鮮半島に対する侵略政策の克服の試みという観点から概観する一冊。
古い本ながら、大正デモクラシーを差別克服の文脈で理解することは失念していたため有益な単著。逆さまから見れば、大正デモクラシーの試みた、1)国内政治・経済・社会の民主化、2)差別の克服、3)中国朝鮮半島に対する侵略政策の克服の試み、という3点は現在でも価値を失っていないどころかますます重要な視点になると思われる。
その意味では、大正デモクラシーを単純に「あだ花」として切り捨て、戦後民主主義の水脈としての意義を否定することに容易になってはならない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
デモクラシー
- 感想投稿日 : 2014年5月11日
- 読了日 : 2014年5月11日
- 本棚登録日 : 2014年5月11日
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