山本志乃『女の旅 幕末維新から明治期の11人』中公新書、読了。近世以前、女性の一人旅は困難だったが、江戸末期より自らの意思で「移動」する女性たちが登場する。俳人田上菊舎は40年も歩き、松尾多勢子は志士を助け、河原操子は大陸浪人の女性版……。
およそ女性に限らず、限定的社会は基本的に「移動の自由」が制限されている。ひとりひとりが自身の意思において「移動」をすることにより、共同体は活性化していくものである。彼女たちの足跡は社会の変化を映し出している。
本書で、河原操子を初めて知る。松本藩士の長女として生まれ、大同学校教師を経て、モンゴルの王室で教育顧問、粛親王と交友、同地の女子教育に先鞭をつける。同時に日露戦争関係横川省三と沖偵介と諜報活動に従事。知られざる「女傑」(←言葉が古い)の存在に驚くばかり。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
人間の自由
- 感想投稿日 : 2012年7月20日
- 読了日 : 2012年7月20日
- 本棚登録日 : 2012年7月20日
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