熱狂なきファシズム: ニッポンの無関心を観察する

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著者 :
ujikenorioさん 民主主義   読み終わった 

想田和弘『熱狂なきファシズム』河出書房新社、読了。ファシズムに必然するのが狂気的熱狂だ。しかし著者は今日のファシズムを「じわじわと民主主義を壊していく」低温火傷という。「ニッポンの無関心を観察する」(副題)と、憲法改正、特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認への現在が浮かび上がる。

気がついたときには手遅れになるのがファシズムの特徴だが、内向きなナショナリズムに喝采し、ヘイトスピーチが公然とまかり通り、貧困と格差が増す現在日本は、もはや「平時」ではない。反知性主義の勢いは民主主義を窒息させようとしている。

「僕は、私たちの一人ひとりが普段から目の前の現実をよく観て、よく聴くことこそが、巡り巡って『熱狂なきファシズム』への解毒剤になりうるのではないかと考えている。なぜなら虚心坦懐で能動的な『観察』は無関心を克服」するからだ。

世の中の変化のスピードが加速する現在は同時に忘却の速度が加速化している時代。だからこそ「現在」をよく観る必要があろう。著者が「観察映画」で追求してきた「能動的な存在としての観客と、互いに尊重し啓発し合う対等な関係」の構築こそ現在の課題だ。

“『永遠の0』が興行的に大成功した最大の秘密は、それが表面上「反戦映画」の体裁をとったことにある” 「あとがきのような『永遠の0』論」で締めくくられるが、こうした戦術と下支えする心情が「熱狂なきファシズム」を加速させる、警戒せよ。


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レビュー投稿日
2014年11月27日
読了日
2014年11月27日
本棚登録日
2014年11月27日
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