おれたちはブルースしか歌わない (講談社文庫 に 1-9)

著者 :
  • 講談社 (1982年5月1日発売)
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感想 : 2
3

若者達を軽快な文章で描いた青春ミステリ、そして読者への挑戦がはさまれた本格ミステリです。

仲間たちとグループサウンズ「ザ・ダックスフント」を組む19歳の「おれ」。
ある日、家の近くで探偵が殺されるという事件が発生。時を同じくして愛犬のダックスフント「ロン」が行方不明になり、自分たちの曲「シンデレラの罠」が盗作されたことを知る。
これらの事件には関係性があるとみたバンドメンバー、そして殺害された探偵の娘は、真相を追ってメンバーの叔父が経営する静岡の旅館へ。そこで起きる連続殺人事件。

前半は19歳の浪人中の若者「おれ」がバンドのこと、車のこと、女のこと、愛犬ロンのことをぺちゃくちゃと喋っています。
探偵の娘にデレデレして見栄を張って車を買っちゃったり、バンドのメンバーの男同士嫉妬したり自慢したりと微笑ましい展開が続き、中でも「おれ」が語る愛犬ロンについてがとてもおもしろい。ロンは陰惨な事件が起きる中、癒しのマスコットキャラクターでした。

後半で静岡の旅館に舞台が移ると次々に殺人事件が起きますが、いきなりどんどん人が死んでいきシリアスな展開になります。

前半で登場した主要人物達が同じ旅館に会し、容疑者が出揃うのは分かり易くわくわくします。
事件も密室や幽霊騒ぎなど派手な展開です。
人が次々と死ぬので容疑者もどんどん減ってしまいましたが、一捻りある解決部分はほろ苦い青春像も描いており楽しめました。


ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
















柳きみ子の扱いが面白く、彼女が若い男の扱いが上手い事が田口殺害に関連していたり、結婚願望を抱いていたことが氷川と繋がっていたりと、前半での「おれ」の話に伏線がばら撒かれている事に気付かされます。逆に探偵の娘の存在感が最終的にはものすごく薄かったことが残念です。「ロン」にももっと活躍の場が欲しかった。
そしてこっくりさんが登場したのには驚きました。結果あれがミスリードだったというのには脱力です。

メンバーが2人も殺された上に杉原の裏切りという、愉快で軽快だった前半から一転した苦々しいラストでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内ミステリ
感想投稿日 : 2012年6月19日
読了日 : 2012年6月10日
本棚登録日 : 2012年6月10日

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