黒い仏 (講談社文庫)

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本棚登録 : 637
レビュー : 96
著者 :
ニコルさん 国内ミステリ   読み終わった 

全ての指紋がふき取られた部屋で発見された身元不明の男の死体。
冒頭はごくごく普通のミステリー小説です。
なぜ指紋がふき取られていたか?男は誰なのか?警察の捜査で明らかになっていく人間関係、犯人の行動、そして名探偵の登場。
しかし段々と物語は思わぬ方向へ向かっていきます。

前もってこの作品の評判は聞いていたので予想外の展開を楽しめましたし、個人的にはおもしろい『ミステリー小説』だと思っていますが、人にはジャンルに拘らずに気軽に読みなよ、と言いたいです。おもしろいミステリー小説だよ、と薦めたら怒られそうな気がします。
拘った方がより衝撃を受けられるかもしれませんが。

ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








裏で暗躍するとんでもない組織がいますがそれはひとまず置いといて、一人の男が殺された事件には現実的で論理的な解決がなされていることに満足しました。
指紋がふき消されていた謎への説明、アリバイトリック、歴史に隠された宝の在り処と楽しいミステリー小説です。
この解決が実際には真実でなかったとしても、探偵が真っ向から謎に取り組んでいる姿と解決があるからこそ、わたしはもう一つの展開も楽しめたのだと思います。

そしてもう一方のアントニアが主人公(?)となって繰り広げられる派手で壮大なバトルもおもしろい。
土台となっている神話についてわたしは詳しくないので拾えていないネタが随分あるんだろうとは思いますが、細かく調べる気にはなりませんでした。
詳しければより楽しめるのでしょうが、知らなくても大丈夫だと思います。
同時進行で全く別々の方角をみている石動とアントニオですが、いたるところで2つのストーリーがお互いに干渉し影響しあっているのが楽しかったです。

反則技ともいえるこの展開をアリにして探偵の推理をこんな風に完結させてしまうと、この世の謎を探偵が合理的に解き明かすミステリー小説が成り立たなくなってしまう。…なんて事も考えられるわけですが、こういう本が【たまには】あってもおもしろいじゃん、とわたしは思いました。

レビュー投稿日
2012年3月2日
読了日
2012年2月29日
本棚登録日
2012年2月27日
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『黒い仏 (講談社文庫)』のレビューへのコメント

Yoshi_Navyfieldさん (2012年3月2日)

賛否両論はあるものの、読者としての度量が試されている小説だと勝手に思ってます(笑)
探偵が道化的な役割になっている面もありますが、これがアンチミステリというものなんでしょうかね?
現実の一つの事件を二つの世界の視点から、それぞれ解説してみるという試みというか設定が斬新でした。
僕もこの本、大好きです。

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