題名からは想像もつかない、まさかの「介護」小説だった。
『忠孝の考えが厳しい武家では、家を継いだ当主が自身で介抱に臨むのが最良。届を出せば城での勤めを休める』
武家がこうなら商家も当然同じ。
跡継ぎ息子が介護している最中、嫁は亭主に代わって商売を切り盛り。
えええ!!!
そーだったの、江戸時代!
家庭内で、女が、無償で(つまり嫁だったら相続権もなく)介護をするのが当たり前、と言う考えは戦後の日本からってことなのね。
戦前の日本では、さほど裕福でない家でも女中さんを雇っていて、家庭内の介護はこの子たちがになっていた、と言う話を聞いたことがある。
介護保険ができた頃、我が家の近辺(田舎です)では介護を他の人に委ねるのは家の恥、っていうか嫁がひどいヤツ、的な考えが横行し、制度を利用する人が少なかった。
その頃この小説があったなら、自分を責めずに済んだ嫁がどれだけいただろう。
内容にビックリだったが、人物の描き方が素晴らしく、さらに当時の介護指南まで書かれていて、内容の濃い一冊である。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年8月5日
- 読了日 : 2017年8月4日
- 本棚登録日 : 2017年8月5日
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