文明の衝突 (下) (集英社文庫)

  • 集英社 (2017年8月22日発売)
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感想 : 8
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上巻は『現状分析』がメインだったのでまだ良かったのだが、下巻は『対策』それも、『西欧文明の優越が失われてしまう。キー』の対策なので、まあ、引きながら読んだ。
ああ、そりゃあ、問題になったわけだなあと。

ただし、イスラム文明が他の文明と摩擦を生じている背景としての、『人口爆発』『若い世代が多い』という分析は、大事な視点だなと。
いずれ、イスラム圏が豊かになれば、人口爆発が収まって穏健になる日も来るのだろうか?(まあ、その答えを見るまで生きていることは無理だからわからないが)

あと、日本の扱いがあまりにもあれだよなあ。まあ、ちょうど細川政権の頃だろうからなあ。対米自立ダーみたいな乗りがあったのは事実だけど、それは一般化しなかったわけでさあ。まして、自立ならともかく、米国から中国に乗り換えってのはさぁ…
その意味で、提示されたシナリオは(今の)日本人には、あまりにも荒唐無稽すぎてしんどかった。

そして、最大の問題点は、「文明間の衝突を防ぐ為に、互いの文明圏を超えて干渉するべきではない」ってのは、帝国主義の時代にまで歴史を戻せって聞こえて、あまりにも酷すぎた。これほどの人でも、見かけ上の現状維持を優先すると、ここまで酷くなるんだなと呆れた。その分、☆一つ減らして☆3つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫
感想投稿日 : 2018年10月14日
読了日 : 2017年12月9日
本棚登録日 : 2018年10月14日

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