財務省と政治 - 「最強官庁」の虚像と実像 (中公新書 2338)

著者 :
  • 中央公論新社 (2015年9月24日発売)
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55年体制下の大蔵省から、省庁再編後の財務省に代わり、二度の政権交代を経て役割を転じた財務省の実際に迫ったもの。かつての、調整役・憎まれ役をしていた時代とは法的権限も変わり、求められる新たな役割を模索している財務省。ある意味、大蔵省優勢下の政治状況を撃つ崩すという政の悲願は達成されたものの、政も官もその後の新たな構造というか関係というか役割分担を見いだせずにいる現状。明日はどっちだ!?
そして、民主党政権時代について複数の新たな知見を得ることができたことは特機に値する。
一つ:小沢一郎が自民党幹事長だった時代は、ほっといても財政が健全化するタイミングだったので、『財源は言えば出てくる』は彼が本気で思っていた可能性。
二つ:民主党政権は自民党政権時代以上に財務官僚に依存していた(秘書官の面でも、政権運営の面でも)官僚との接触が、鳩山政権時の財務副大臣、菅直人政権時の財務相と財務官僚としか接触の無かった野田総理が、外務省や経産省も財務相と同じように『官僚の枠を越えた』政治的情報収集や根回しをやってくれているものと誤解したというのも、悲喜こもごもな話である…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2018年10月14日
読了日 : 2015年12月13日
本棚登録日 : 2018年10月14日

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