無意識への旅 (河合隼雄全対話)

著者 :
  • 第三文明社 (1990年3月1日発売)
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大江健三郎さんとの対談より

大江さん「ある神経症者が現在の状況の原因として、ある過去の事象を想起したとしても、そのことは直ちに、それが文字通り原因であるというのではなく、現在においてのそのような想起が意味を持つのであり、それはある意味ではあくまでも現在のこととも言える」
過去にどういうことが起こったかということを書くことが現在の問題として重要なんだと受け取ることができるようです。

河合さん「学校恐怖症の人たち30人の共通項を研究するよりも、ひとりの子を2年3年と関わっていくということを3時間かけて発表する、そうすると聞く方は単なる事例としてではなく、全人的に聞くよりほかなく、そのことが治療者として成長していく。
それはつまり、文学の狙っているところである。
大江さんの提出された人物と私という人間が全人的にかかわって私の心の中に生じてきたものは、その文学が私の中に惹き起こしたもの、それが意味を持つわけだ。
そういう点で心理療法と文学はすごく似ているなと思う。」

「この仕事をしていると、ひとりの人が十年かかろうが二十年かかろうが治っていくとかあるいはかわっていくということではなく、極端に言うといきてるということでいいんだと、おもう。
一人の人間が生きているということは凄いことだと思うようになりました。
その人が生きているということは、その人の思っているよりも・・
生きがいがあるから生きているのならそんなのはあたりまえで、それに対してなんの生きがいもないのに一人の人が生きているとしたら、こんなすごいことはないんやないだろうか。こんなすごい大事業はないと言った。」

こういう言葉を、あの時に父に言ってあげられたら良かったのにと思った。
もしこの先、自分自身が辛くてたまらない時に、河合先生のこの言葉を思い出そうと思う。

神経症で苦しかった時、どうして今、こういうことになるのだろうと過去のことを想起した。まさしく、大江さんの仰ることだった。人は目標や子供の成長など未来の希望とともに生きるものだが、過去や今の苦しみはこの先の私の人生にどういう意味をもたらすのか、必要だからこういうことを体験しているのだ、薬も身体に合わないし、これは自分で考えていく必要があると思ったものだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 河合隼雄
感想投稿日 : 2013年9月8日
読了日 : 2013年9月8日
本棚登録日 : 2013年8月31日

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