これは、読み進めるのが、相当にしんどかったです。
放火により元恋人の妻と子を殺した罪に問われた女性の物語です。

「十七歳ホステスの私生児」「養父からの虐待」「中学時代の強盗致傷事件で施設入所」、彼女を形容するキーワードから描かれるイメージは、決していいものではないはず。
一般論ではない個別の事象について、その背景も知らないのに。

知人が未遂ながらもニュースになるようなことをしてしまった際、うっかり目にしたYahooニュースのコメント欄は、それはもう酷いものでした。
もちろん犯した罪はいけないこと、ですが、「その年でアルバイトかよwww」から、人格否定までされると、「あなたに何がわかるんだ」と言い返したくなる。
実際のところ、普段私が目にするニュースも、似たようなものばかりと感じていながら、その背景にはそれぞれの事象がある。だからこそ、ステレオタイプ的に何かを断定してはいけないのだと思う。

と、脱線したけれど、話を本書に戻すと、私は彼女の境遇が不憫で、読むにつけ苦しかった。
人との出会いが人生を変える。
そんな人生の分岐点で、常に不運の道へ進んでいく。負のスゴロクのような人生。
幼少期に必要とされなかった経験は自尊心を失わせるし、性的虐待で傷つけられた心は諦めと不信を生む。
翔のように恵まれた人生と、そもそも土台が違うのだ。

だから仕方ない、という話ではない。
自力でどうしようもないこともある、からこそ、彼女が間に合う内に出会ってほしかった。自分のことを大事にしようと思える人に。

読んでいて、「連鎖」という言葉が連想された。
負も正も、連鎖する。
彼女にとっては救いを求めた光だし、彼女なりに願った「誰も傷つけない方法」を責められない。けれど、描かれなかったこの物語の先で、全てが明かされた暁には、彼女に関係した多くの人は重責を抱えて生きていくこととなる。
人が1人で生きていない以上、誰にも影響しない、なんてことはそうそうない。

一方で、翔の祖父が話した仕事論は、世代を超えて受け継がれる正の遺産だ。前向きに生きる、力を与えてくれる。

どんな人に出会えるか、どんな人の中で生きていくか。
幼少期こそ特に、運でしかない。
自分ももしかしたら、誰かの分岐点にいるのかもしれない。そんな時、その人にとって少しでもプラスな方向を示せる人でありたい。そんなことを思いました。

2019年5月4日

読書状況 読み終わった [2019年5月4日]
カテゴリ 日本の小説

THE ファンタジー小説。
解説によると、ファンタジー小説というのは、商業小説として売り上げを出すのも、企画を通すのも難しいらしい。
まして、著者はホラーやミステリージャンルで実績のある方らしく、それがマイナスに働くこともあるらしい。
ですが、ファンタジー好きな私としては、とても楽しく読ませてもらいました。

ラノベでも異世界転生ものは流行っていますが、それとは一風雰囲気が違いますね。土台があって、わくわくするだけじゃなくて、すこし考えさせられました。

「10の願いを叶える力」
それが、別世界に飛ばされた上で与えられる。その時、自分ならどんなことを願うだろうか。
自分しかいない世界ならば、案外叶えたい願いもそれほどなく、すぐに飽きてしまうのかも。とも思うと、人は社会的な生き物なんだなぁと思ったし、新たな世界に来てすら、過去をすんなり振り切ることは難しいのだと思わされた。

読者としては全体を見ながら考えるからあれこれ言えるけど、実際のところ同じ状況だったら、案内役から可能な限り情報を引き出して、新たにこの世界で生きていくための戦略を立てて…なんて風にはできないのだろうな。
それでも、私だったら、他言語を話す人と不自由なく意思疎通できるようになりたい、と願う。

ところで本筋とずれるけれど、私は本書に登場する国が「麗和」なことに、非常に驚いた。4年近く前に出版されたのに。漢字は違うといえど。
主人公の年齢も同じだったし。たまたま手に取った本だっただけに、そんな偶然の重なりもおもしろくて、今読むべくして読んだような気がしています。

続編も、著者のファンタジー以外も読んでみたい。

2019年5月3日

読書状況 読み終わった [2019年5月3日]
カテゴリ 日本の小説

友人から借りての初読みです。
所々違和感を覚える箇所があって、これは伏線か?と気にかけながら読み進めたものの、最後にきちんと「?!」と驚かされるあたり、読み込みが足りないですね。
あとがきの種明かし後に再読するのも楽しいものですが、全部わかってすっきり!とならないのが悔しくも、おもしろいところでした。答えは全て明かされず、読者に委ねられています。

ネタばれ前提でしか書けない感想ですが、
私なりに導いだストーリーは、熊切殺害はどこからも依頼されず、七緒の独断によるもの。佐和子は七緒の想いに薄々気付いていながら止められず。
七緒は熊切が佐和子と結婚する2年近く前から佐和子のそばにいたのです。何とかしたい思いでいたのでしょう。
ところがミイラ取りがミイラになって、気付けば天才肌で繊細な、熊切に惹かれていく。彼の育った環境は描かれていないけれど、不安定な彼の気質から想像するに、安定していなかったはず。そして、彼自身コントロールできない攻撃性や衝動と戦っていた、のを近くで見るにつけ、憎しみ以外の感情が芽生えたのでは。

殺すつもりはなく、本当に心中しようと思っていたのではないでしょうか。生きる苦しさから共に解放されよう、と七緒は心底思っていたのではないか。

誤字だと気づいた「視覚の死角」
私は、「刺客の資格」だと読みました。カミュの刺客は、神湯の刺客なのでしょうが、小説家アルベール・カミュを連想します。彼の著作が、「明晰な理性を保ったまま世界に対峙するときに現れる不合理性(不条理)」という概念により特徴づけられていることを思うと、人間としてそれら不条理な運命に目を背けずに見つめ続ける態度が求められているのでないか。

暗殺するだけなら、すぐにできたはず。
でも「何故」心中か、の解明が求められていた。
若橋は紛れもなくカミュの刺客だけど、それに彼自身が気付いたのは、本当に終盤。知らなかったとはいえ、2年も前から依頼を受け、取材費をもらっていた彼に、近年仕事に困っていた彼に、惚れた七緒と別れて、カミュに敵対してまで取材を打ち切ることはできなかったんでしょう。

カミュの刺客に失格だと最後に綴った彼。
不条理な運命に目を背けてしまったが所以なのか。
苦しむ七緒に手をかけてしまうところまでは心情としてわかるものの、その後の展開がついていけない。
伏線らしきものの、あやしげなところも回収できぬまま。

気になるところをつらつらと。
・七緒のメールアドレスは雑誌の記者から教えてもらったものだ、と告げるとがっかりする七緒(P24)
 なぜ?誰から教えてもらったものだと期待していた?佐和子?亡き母??
・コーヒー専門店なのにレモンティー
・佐和子が唯一マスコミの取材に応じた、熊切が”自殺”などという愚行を犯すとは想像すらできない(P45)
 ⇒七緒は、「心中する一か月ほど前は、特に具体的に制作が進行している作品もなく、一向に次の企画に取り掛かろうとしなかった」とインタビューで真逆の発言。
 実際どんな
・七緒のインタビューにある「熊切は私の気持ちを受け入れ、気が付けば、そういう関係になっていました」(P59)
 やっぱり七緒側からそれとなく誘ってるよね
・熊切が山梨の貸別荘のHPを見てたと知ったのが午前3時、深夜なら飛ばせば2時間で行ける距離で、すぐに出発。夜明け前に着く。管理人と会えたのは8時50分。
 着いてからの空白時間何してたの?熊切の車停まっているの見つけて、彼は「死ぬ」って言ってるのに、ただ待ってたの?
 森角はビデオがテーブルの上にあったって言うけど、管理人は記憶にないっていうし、森角が怪しすぎてもう。神湯シンパっぽいけど、動きがよくわからない。
・「あなたは大きく間違っています。...

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2019年5月2日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2019年5月2日]
カテゴリ 日本の小説

大手医薬品メーカー九代目、久坂隆之は53歳。
素性正しい大金持ちで、シンガポールと東京を行き来し、偏愛する古今東西の書物を愛でるように女と情事を重ねる。

時代の波に流されず、優雅で退嬰的な人生をたゆたう男たちが辿り着いたのは―。

小説を読むときに、ストーリーを楽しむのも1つですが、知らない世界を垣間見る、という楽しみがあります。
私の知っているシンガポールと、久坂さんの目を通して映るシンガポールは全くの別物です。地名は知っているものだけに、その差異というのがとても楽しい。
富裕層の人が生きているのは私にとって、別世界です。それは、ファンタジーの世界と変わらないくらい。遊び方も、しきたりも、何もかもがおもしろい。

私にとってこの本は、知らない世界の空気感を楽しむものでした。登場人物の多くは40代から50代。驚くほどに「男」であり、「女」でした。

有り余るほどのお金があれば、こんな余裕とゆとりのある暮らしができるんでしょうか。とはいえ、どんなにお金があって、家柄がよくて、すべて兼ね備えているようでも苦悩はあるのだから、人間はままならない生き物ですね。

重たくても買いたいと思えて、わくわくしながらページを捲ることができる本があるのは幸せなことだな、と改めて感じたところです。

2019年4月28日

読書状況 読み終わった [2019年4月28日]
カテゴリ 日本の小説
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30歳も過ぎ、体のことを考えたときに見直しやすいのは、食事のこと。毎日のことだから、影響も大きいはず。
健康格差については、私も肌で感じているところですが、大事な体のためにも、知識を積み重ねたいものです。

著者は38年間、糖尿病専門医として患者さんを診てきたとのこと。
「食事」は健康格差を生き抜く最強の教養である、という言葉が胸に刺さります。

正直なところ、一昔前にはいいと言われていたものが、実はよくなかった…ということが、よくあります。本書で述べられていることも、数年後には新事実が発見されて、変わっているかもしれない。
それでもなお、勉強になることばかりでした。

本書に書かれているのは、血糖値を大きく上下させないことに注目し、昔ながらの生活を省みましょう、ということ。
便利な世の中になって、手軽に栄養が接種できるようになったけど、野菜ジュース=野菜ではないことを忘れちゃいけない。
それに、咀嚼をするということは生きる上でとても大切なことだと、しっかりと認識した方がいいようです。

特別な日には美味しいケーキを食べたいし、無農薬野菜を入手する労力を日々持ち続けることは難しい。
とはいえ、夕食後に積極的に果物を取ろうとは思わなくなったし、野菜から食べた方がいいことも根拠を持って説明ができるようになった。
海藻やキノコをたくさん食べようと思ったし、見えない砂糖にも警戒をするようになった。

全部を完璧にできなくても、小さな1つ1つの積み重ねがきっと体を作っていくんだと思います。非常に興味深く読ませていただきました。

2017年12月17日

読書状況 読み終わった [2017年12月17日]
カテゴリ 自分と向き合う

先日はあちゅうさんがブログで本書の内容を紹介していて、内容に惹かれて購入。
この本の存在はずっと前から知っていましたが、なかなか触手が伸びなかったんです。その理由は、タイトル。

連載時のタイトルは「東京いい店やられる店」
そして単行本、Kindle本では本書「かわいくおごられて気持ちよくおごる方法」
なかなか、明け透けなタイトルで、ちょっと怯んでしまう。
それがこの度文庫化されるにあたり「恋が生まれるご飯のために」というタイトルになるらしい。
こうして徐々にタイトルが変わることで、届く層が変わっていくんだなぁと思うと、本気で売ろうというのはこういうことかと感服します。

内容は思ったよりもガツガツしておらず、ほっとしました。
デートに限らず、食というものはとても大切だと思っています。食べることは生きること。食べることに適当な人は生き方も適当です、というのはそうかもしれない。

今年になって恋人を探そうと考えて男性と食事をしたりもしてみましたが、みんなご馳走してくれる。
学生同士とはまた随分違うなと、久しぶりに恋愛市場に出てみて思ったものです。おごられ慣れていないので恐縮してしまうのですが、それでもやっぱり、おごるということが当たり前じゃないからこそ、おごられたら特別に感じるというのはあると思っています。

想いも優しさも胸に秘めてるだけじゃ伝わらないし、なるべく言葉にしたり、行動に移そうと心がけています。
きちんと感謝を伝えること、楽しく一緒に食事をすることなど、恋愛も人との関係だから人付き合いの基本を大事にしていくことが大切なんだろうと改めて感じています。

恋愛も、美味しいものを食べるのも、楽しいよね。

2017年11月26日

読書状況 読み終わった [2017年11月26日]
カテゴリ エッセイ

テンポよくさくさく読める、恋愛指南本。
今回登場するのは、自称スタンダール。かの「赤と黒」や「恋愛論」などを書いたフランス人作家です。

自分に自信がなくて、トラウマもあり、ちょっぴり妄想癖のある読書好き。精神科に通いながら、うつむきがちに日々を過ごす三十路の女性が主人公です。

非常に軽快で面白くありながらも、一定の真面目さと、大事なことは真摯に伝えようとする姿勢が好ましかったです。
単に楽しかった、で終わる軽いノリじゃなく、心に残るものがあります。

本書の本筋もよかったのですが、素晴らしいな、と思ったのは、精神科のお薬の在り方についての記載。
頼り過ぎず、かといって、遠ざけ過ぎず。お薬はこんな風にお守りのように寄り添う存在となって精神的に不安定な人を支えるものであってほしい。そのためには、服薬する人が服薬についての知識を正しく持つことが不可欠ですね。
擬人化されたお薬、パックンに惚れそうでした。
---「安心しいや。ワイが聡子はんの不安、全部やっつけたるからな。行くでーー!」
そしてパックンは口の中に飛び込み、喉の奥へと消えていった。---
すてき。

さて、それはそれとして本筋もすごくよかったです。
「絶望は幸福への伏線である」というフレーズは真理だと思う。絶望の最中にいるときは、全然気づけないんだけど。本書でも書かれているように、「その絶望から立ち上がり、前に進み、幸福を手に入れたときには、はっきりと分かるのだ。絶望的だと感じたあの出来事こそが、自分を幸福へと導く最も重要な伏線だったということに」ね。

恋愛本としてももちろんいいんですが、本好きからして共感できるところも多く。楽しいだけの毎日だったらきっと、こんなにも本の世界で感動や癒しを得ることができなかったでしょうしね。

どんどん強く、綺麗になっていく聡子は、読んでいて応援したくなる存在。同時に元気をくれました。

末尾のSATOKO'S MEMOは、紙の本なら読みやすいでしょうが、残念なことにKindleだとちょっと読みづらい。リングが上にあるようなメモ帳で書いた設定だったら、そのまま読み続けられてよかったのかも。

2017年11月26日

読書状況 読み終わった [2017年11月26日]
カテゴリ 自分と向き合う

研ぎ澄ませ、研ぎ澄ませ、集中しろ。無駄な時間は1秒だってない。ここで起こるすべてを見つめ、記憶しろ。でなければ生き残ることはできない。
私は今、戦場にいるのだから。
(中略)
戦場の名は、高校という。

当時は気付かなかったけど、振り返ってみるとあれが青春だったとわかる。楽しく笑う日々ばかりでなく、内面で葛藤があり、戦いのあったあの日々を、懐かしく思い出しました。
転校したこともあり、私は2つの高校に通ったけれど、私にとっても高校は戦場だったなあと思う。いじめられていたわけではないけれど、気を張って、自分を何とか守りながら過ごしていた気がします。

それぞれの思惑で入部した天文部。
普段クラスでは交わらないようなメンバーが不思議な縁で結びつく。この適度な距離感やクールな中にもコミカルな会話がツボでした。帯に書かれた「絶対零度の青春小説」というコピーは秀逸だと思う。

誰もが通る青春という道を駆け抜けていく彼らの先に、輝かしい未来がありますように。そう思って本を閉じました。
「誰かを特別にするのは、その人を特別だと思う人の存在。ならば、私たちは、きっとものすごく特別な存在だ」というフレーズが大好きです。

2017年11月22日

読書状況 読み終わった [2017年11月22日]
カテゴリ 日本の小説

最近は後味のいい、軽い小説ばかり手に取っていたので、陰影の濃い、狂気を孕んだ小説に圧倒されました。
今さらながら初読みの中村文則さんでしたが、読了後まだ心臓がばくばくいってます。

そもそも読んだきっかけは、又吉さん。
どこかでとてもお勧めされていたのを目にしたのですが、帯にも又吉さんのコメントで、「もし、世界に明るい物語しか存在しなかったら、僕の人生は今よりも悲惨なものになっていたでしょう。自分の暗い部分と並走してくれる何かが必要な夜があります」と、書かれています。

絶望的な、取り返しのつかない出来事に対して、器用に蓋をして一定の距離を取れる人ばかりではないんですよね。
ギリギリ正気の淵で生きていた彼が、絶望に背中を押されて狂気の海で溺れてしまうのが、この作品。
息継ぎをするように正気を吸い込むけど、海の底から足を引っ張られるように狂気の海に飲まれていくのは、読んでいて恐怖を感じました。その恐怖は、彼自身を怖いと思う恐怖ではなく、理解ができてしまう気がすることへの恐怖な気がします。自分もまたぎりぎりの淵に立っているのかも。

あとがきでも書かれていますが、印象的なのは太陽を背にした男性の映像。脳内に焼き付くほどくっきりと残っています。彼が彼として見た映像だからでしょうか。それとも男性の助言が、彼の人生を左右するほど大きかったからでしょうか。全体的に暗い中で、とても眩しく、また濃い陰影を作っていて、印象的でした。

レッテルを張られることは著者の本位ではないかもしれませんが、解離性障害、境界性パーソナリティ障害という単語が頭に浮かびます。
きっと、美紀がいたら、なんだかんだで平凡で、幸せな人生を歩んでいただろうし、彼が、彼らしく生きていくことができたんでしょうね。人生は、ままならない。寂しいですね。

2017年9月9日

読書状況 読み終わった [2017年9月9日]
カテゴリ 日本の小説

恋に仕事にふと立ち止まりそうな女性の心情をそっと掬い上げる連作短篇集。
永遠じゃない、だけど、大事な1日、を6人の視点から丁寧に描きあげてます。

インスタなどを見ていても、同じものを見ていて、こんなにも素敵な風景を切り取れるのか、と思うことがよくあります。同じように小説でも、作者の目を通して見た世界は自分の知っているものとは一味違って、それを楽しめることが小説の醍醐味だなとしみじみ感じます。

押切さんの前向きで優しい視点を存分に楽しめました。
ただ温かなだけじゃなくて、冬の日差しみたいな、寒さがあるからこそ染み入るものがありますね。
書かれているのは日常なのに、日常だからこそ、辛いこともあれば嬉しいこともあって、それがそのまま自分の毎日でもあるんですよね。
ちなみに甘いもの大好きな私からすると、ショコラについての描写も最高でした。

どの短編もいいですが、「しなくなった指輪と七日間」にささくれた心が癒されました。

「いつからか、夢を叶えたい一心で自分のことだけを考えるようになっていた。「出てって」と告げる前に、どうしてもっと楽に呼吸をしながら、ともに支えあって歩むことを選べなかったんだろう。」P104

2017年9月9日

読書状況 読み終わった [2017年9月9日]
カテゴリ 短編集・詩集

唯一無二の「本当の自分」なんてない。
自分探しで苦悩している若者、対人関係で生きづらさを感じている人に、特にお勧めな1冊です。

高校時代、友人の未知の一面を目の当たりにしてショックを受けたことがあります。私の知っている彼女は、偽りの彼女だったのか、と。
当時は森絵都さんの「カラフル」を読んで救われ、人には多面性があることを受け入れることができました。

ところが成長するにつれ、「本当の自分」と「様々な一面(ペルソナ)を持つ自分」という解釈だけでは生きづらさを抱えるようになります。
そもそも「本当の自分」なんてものはなく、「本当の自分」=「思い描く理想の自分」に過ぎず、掴まえようとしても指先からすり抜けていく幻のようなものだとやがて割り切るようになりました。
なのでずっと思い悩むことはなかったものの、釈然としないモヤモヤ感が残っていましたが、この「分人」という概念は非常にしっくりと腑に落ちるものでした。

本書でも書かれていますが、複数の分人を生きることは、精神のバランスを取るために必要なことかもしれませんね。自分が自然体でいれる場所、自分の好きな分人でいれる相手との繋がりは大切ですね。

恋愛についての「愛とは、「その人といるときの自分の分人がすき」という状態のこと」という説明も、非常にしっくり。
人間が他者との相互関係の中で生きていることを考えれば、この「分人」の概念を持っていることで随分と生きやすくなるように思います。

さらっと流してしまいがちな観念について、小説を書きながらこんな風に丁寧に向き合う著者が素敵だなと感じました。小説も読んでみたい。

2017年9月7日

読書状況 読み終わった [2017年9月7日]
カテゴリ 自分と向き合う

読書と名のつく本には自然と目がいってしまいます。どんなことが書かれているのか、わくわくしながら手に取りました。

不勉強で知らなかったのですが、著者は著名でとても優秀な方とのことで、ハーバードで日本人として初めて最優秀学生として称されたのだとか。著名なご友人についても本書で紹介されています。

本書では、読書がいかに語彙を増やし豊かさを与えてくれるものか、教養を身に付けさせてくれるものかご自身の体験をもとに書かれています。

興味深かったのは、おすすめジャンルとして紹介されていたのが「生物学」「歴史」「軍事学」「哲学」だということです。
人間や自然についてよく知るということは、日々の営みや経営に直結して活きそうですね。ついつい難しいからと敬遠しがちですが、良書はきちんと読んでおこうと思いなおしました。
巻末ではおすすめの本も紹介されており、早速何冊か購入しました。

実際によく思うのですが、本を読めば読むほど、人ときちんと話をしようと思えば思うほど自分の教養不足を感じます。読んでも忘れてしまうことも多いですが、忘れていても血肉になっているものはあるはずだと思うことから、これからもきっと読み続けます。

「読書は間接学習で学習歴を広げてくれるから、本から知恵をどんどん吸収していると仕事力はおのずと向上する」と書かれていたり、「環境を変える努力家の大半は、間違いなく努力家である」の言葉を目にしたせいか、今、すごく本が読みたくて仕方がない気持ちです。

2017年9月3日

読書状況 読み終わった [2017年9月3日]
カテゴリ 自分と向き合う

DeNA・南場智子が5年かけて口説き落とした男性がいる、という記事で前田さんのことを初めて知った。
なんと大変若くて、1987年生まれだという。今年でようやく30歳じゃないですか。
8歳で両親を亡くした彼の放つ「逆境が人をより高みに導く」という言葉は重みがある。

彼がどんな人生を歩んで、どんな思考を持っているのか…とてもよく伝わる1冊でした。
前田さんがこの本を通して伝えたかったことは3つ、絆の大切さ、努力の大切さ、そして人生という壮大な航海において「コンパス」を持つことの大切さ、だといいます。
それが、彼の人生を通して語られるので、非常に読み応えがあり、胸に響くものがあります。

生まれた境遇によって決まることも多いけど、それでも、突如立ちはだかる壁やハンディキャップは、後天的な努力によって必ず乗り越えられる。と断言する彼の言葉や生き様に励まされると同時に、自分はきちんと努力ができているだろうかと省みることとなりました。

本書で出てくる、「お前が今日やろうとしていることは、今日が最後の日だとしても、やるべきことなのか?」という質問も好き。日々の暮らしを丁寧に、まるで最後の日のように過ごせたら素敵だろうなぁと思います。

自分でビジネスをする人が読んだらきっと更に感銘を受けるんだろうと思います。
想いのある人がちゃんとその思いを真っ直ぐぶつければ、高いステージへ上り詰められる世界であってほしい、と心から強く願い、信じている彼のことを応援しています。

2017年7月16日

読書状況 読み終わった [2017年7月16日]
カテゴリ 自分と向き合う

事務職ながら、児童相談所に異動することとなった主人公。
児童相談所の仕事を、こんなにもわかりやすく描いた本があることに驚きました。
書かれていることは全てフィクションですが、どれもこれも、ありそうなことばかり。
本当に、日本で起きていることなんですよね。

本書は児童相談所が、ケースワーカーが何をしているのかを丁寧に描いてくれていますが、それだけじゃなく、福祉の現場で働く際に大切なこともたくさん盛り込まれていて、読んでいて胸が熱くなりました。

私もつい、目の前のことに気を囚われてしまいますが、表面に現れてきている現象だけに囚われず、どうしてその現象が引き起こされたのか、に目を向け、環境を改善することが大事ですね。
私たち支援者が行うのは、正論を諭すことではなく、本人が変わろうと思えるように支援をすること。
常に肝に銘じておきたいと思ってます。

シリーズ第2段もでるかもしれないとのことで、とても楽しみにしています。漫画化されて、より多くの人に読んでもらえたりしたら素敵だなあと思いました。

2017年7月2日

読書状況 読み終わった [2017年7月2日]
カテゴリ 社会・ビジネス

しばらく図書館に行っていなかったので、単行本を読み逃してました。本屋さんで本書を見つけてテンション急上昇。
一気に読みました。ああおもしろかった。安定の世界観。

今回の舞台は山内衆を育てる全寮制の勁草院。
なんと学園ものです。和風ハリポタ。
著者もハリポタがお好きだったようで、解説から垣間見える著者像がまたいいです。素敵なお母さまですね。

本書では雪哉の非凡っぷりを余すところなく楽しめるのも最高ですが、私は清賢が大のお気に入りです。
ブレずに穏やかでいて優しい。
若宮もそうですが、清賢みたいな人に雪哉が会えてよかったなぁと心から思います。雪哉はあまりに頭がよくて、すべてを見通せてしまうのかもしれないけれど、その実力を知った上で等身大の少年として大人のまなざしで彼を見つめる人の存在に、気持ちが温かくなります。

まだ秘密のベールに隠されている猿との決戦ももう間近ですし、今夏発刊ということでもうすぐ読めるなんて、嬉しいなあ。

雪哉たちを見ていると、何のために、どこを向いて生きているのか、その真摯な態度から自分を省みることとなりました。大事なものを守るためには、力をつけることが必要ですね。

2017年7月2日

読書状況 読み終わった [2017年7月2日]
カテゴリ 日本の小説

雨が降った日の読書はいいですね。
随分前に新聞で書評を読んでから気になっていたのですが、非常におもしろかったです。
常に変化し続ける世界は、「正常」と「狂気」の境目すら曖昧です。今の世界は変化の途中。そのスピードは年々速まっています。

「恋愛」「結婚」「家族」「出産」、私たちが当たり前と思っていたものも、いつしか当たり前じゃなくなっていて。

例えば、性交でなく、人工授精で子を成す。今や、珍しいことでなくなってきました。ニュースどころか、身近な友人もしていたりする。
一歩進めば、むしろ人工授精がスタンダードになるかもしれない。あらかじめ障害因子なども取り除くことができれば、よりその傾向は高まるはず。いつでも一定の拒否感を抱く人はいるだろうけど。

私の世代ですら、若い人を見ると随分違う、と思ってしまう。恋愛をしない人が増え、まして結婚なんてしなくても、と話す人も少なくない。
人との繋がりは、自宅のリアルタイム配信で手軽に得られる。煩わしさがどんどん排除されている気がします。

「結婚したいのか」「子どもはほしいのか」自問自答することが多い未婚の私には、考えさせられることも多かったです。
まるで友達みたいな、兄弟みたいな、恋愛によらない夫婦の形もいいかもしれないですね。今の世界では外に恋人を作る(=不倫)が咎められますが、子どもができてしまうリスクが皆無であれば、心情としてまた違うのかもしれない。

本書では子どもに焦点が当てられていましたが、少子高齢化が進む中、高齢者(年老いた親)だって「自宅で家族が面倒をみる」という形は風化しつつあります。社会全体で支えていくのが、一般的。
同じように、生産人口も減り共働きが基本となれば、子どもを預けるのは当たり前に。
便利な世界では、どうしても煩わしさへの耐性が減るからこそ、それに合わせて世界も変わらざるをえないんでしょうね。

非現実的だと一笑するのは簡単ですが、私にとっては、今の世界と地続きな部分が多くて考えさせられる1冊でした。

2017年6月25日

読書状況 読み終わった [2017年6月25日]
カテゴリ 日本の小説

読み終わってから表紙を改めて見ると、じんと胸に響くものがある「生きるぼくら」というこの小説。
何がいいって、自然や大地の力強さと、人の温かさや優しさ。生きるって、すごい。いい。素直にそう思えます。

壮絶ないじめ、心荒む引きこもりの日々。
認知症の孤独。対人恐怖。
就活の失敗。
もしかしたら、一生縁のない人もいるかもしれないけど、生きていればしんどいなあと逃げ出したくなるようなことがあります。
どん底に落ちている時は何も気付かないかもしれないけど、浮上していくにつれ、見える景色が変わってくるのが感じられます。

私がこの本の中で好きなのは、おにぎりの話。
「おにぎりって、なんかこう、実にいいかたちをしてると思わない?」
「どうしていいかたちかっていうとね。人の手で結ばれたかたちをしているからだよ」
ふたつの手と手を合わせて、ほっこりと握る。それがおにぎりのかたち。これを食べる人が健康でいっぱいご飯を食べられますようにっていう、作った人の祈りのかたちなんだよな。

おばあちゃんが田んぼで丹精込めて作ったお米で握ったおにぎりは、何にも勝るごちそうですよね。

登場人物はみな、人間味溢れている。
頑張って頑張って折れてしまうことも、逃げ出してしまうことも、あるいは、新しい道を歩み始めることも、全部を受容してくれるかのような懐の深さを感じました。
舞台が自然豊かな蓼科だというのもポイントですね。

人生が元気になるにつれて、同調して自分までパワーチャージされたような、そんな気分です。

2017年6月13日

読書状況 読み終わった [2017年6月13日]
カテゴリ 日本の小説

なぜ、本を読むのか?
本を読む理由がわからない方、興味はあるけど読む気がしないという方の背中を全力で押したくて書いたという本書。
読んでいて胸が締め付けられるようでした。

私も又吉さん同様に、本に救われてきた人間です。
自意識を持て余してしまうとき、器用に生きられないとき、本はいつもそっとそばにあって、深い闇を追い払ってくれました。本は読まなくたっていい。けど、そんなに難しく考えることなく、まずは読んでみたらどうよ、と真摯に語り掛けてくれる気がしました。

読んでいて何よりも感じるのは本への愛情と作者への尊敬の念。本を楽しみたいという気持ちで、わくわくしながら本を開くのは私も又吉さんとまったく同じ。
悪意を持てば小説をつまらなくすることなんて容易だからこそ、マイナスな情報にばかり目を向けて本を楽しめなくなることは避けていきたい。

白か黒かではない、二択の間で迷っている状態を優柔不断だと言わないでほしい、と言うあたりに又吉さんの人柄が表れている気がします。
本は、世界が二択ではないということを教えてくれる貴重な存在ですよね。
それに、本はその時の自分の能力でしか読めない。「いつ読んでも違う味がする。それが読書の大きな魅力です」という言葉も大好きです。

長い人生、どうしても深い闇に落ちてしまって、この夜さえ越えることができたら…という日だってあるはず。ほんの少しの差異なんだろうけれど、そっと光の方へ自分んを押し出してくれるのも、本でした。
丁寧に紹介された本たちは、どれも読んでみたいし、読んだ後にまた又吉さんのコメントを読んでみたい。

又吉さんのどこまでも静かな空気感が心地いい1冊でした。

2017年5月5日

読書状況 読み終わった [2017年5月5日]
カテゴリ 社会・ビジネス

この社会にはきれいごとがあふれている。
人間は平等で、努力は報われ、見た目は大した問題ではないーーだが、それらは絵空事だ。

2017年新書大賞を受賞したらしい本書、おもしろかったです。
これは不愉快な本であると前書きで書かれていますが、書いてある内容はそんなに突拍子もないことではなく、「そりゃそーだよね!」と思うことが多かったです。
とはいえ、初めて知ることもあって、それもまた面白くて。
とりわけ、人種とIQについて述べた章の「アファーマティブ・アクションは一部の黒人を有利にするものの、黒人全体の知能を向上させることにまったく役立ってはいない」という話は興味深い。
アファーマティブ・アクションはそもそも、もう必要ではない、という話は耳にしたことがありましたが、黒人と白人のIQを比較した研究は初めて目にしましたし、人種間で知能の差があるなんて知らなかった。そんなこと言ったら人種差別だと即炎上しそう。

正直、遺伝の影響って、大きいですよね。
一方で環境が与える影響はもちろんあるのですが、本書によると親の子育てによるものというよりは、「友人」との関わりによるものが大きいようです。
ただし、知能が環境から受ける影響として3歳時点で栄養不良だった子どもは11歳時点のIQが低い(P45)など、乳児期は親(養育者)の影響は無視できませんが。
親ができるのは、その子が輝ける環境を用意することくらい。友人との関係に介入することはできないし、なかなか難しいですけどね。

本書に書かれていることは概ね興味深く読めましたが、あまりにも荒唐無稽だと思ったのが「親の免許制」
そりゃあそんなことができたらいいかもしれないけれど、子作りの方法は教えなくてもみんな勝手に習得するんですよね。免許なしの人には産ませない、なんて社会になれば、一部の人は避妊するなり堕胎するなりして抑制できたとしても、ネカフェや自宅での墜落分娩が多発するんでしょうね。

男女の性質の違いや、日本人の特質など、こうした客観的なデータを頭に入れておくことで、見える世界が少し変わってくる気がして、こういう楽しみ方ができるから新書は楽しいですね。

2017年5月4日

読書状況 読み終わった [2017年5月4日]
カテゴリ 社会・ビジネス

断捨離の一環で服も大量に処分してクローゼットがすっきり。
シンプルに大事にできる服を着ていきたい。
そんな風に思っているところにぴったりな1冊でした。

具体的なアイテムを並べながらポイントを解説してくれるのもありがたい。
ほんの些細な違いで、ぐっとお洒落に見えたりしますよね。
登場するアイテムがGUなど随分と身近なアイテムなのには驚きました。あれも欲しい、これも欲しいと読んでいて妄想が広がります。

頭が疲れている日でもページを開くと元気になれるので、通勤カバンに忍ばせて読む日も多い。
いい買い物をしました。

2017年5月3日

読書状況 読み終わった [2017年5月3日]
カテゴリ 自分と向き合う

改訂版が出る前から、この本の存在は知っていました。
その当時、読んで感銘を受けたという書評を目にしながら、全く興味が持てないなあと思ったのを覚えています。

その後、お金の関係でいろいろと自分自身向き合う機会が増えたこともあり、今度はすんなりと手を伸ばすことができました。本書はマネーリテラシーを高めるための、いいきっかけになってくれる1冊だと思います。

変化に富んだ今の時代、大胆に前に進んで行く人と、腐りかけた救命浮き輪にしがみついたままの人とが同居する時代になるだろうと本書は言います。思考を停止させちゃいけないですね。

恐怖や欲望などの感情でお金に振り回されるのでなく、お金のために働くのでもなく、自分の人生をより自分らしく生きるためにはどうすればいいのか「考える」ことの必要性について、改めて大切だと思った次第です。
物語形式で話が進む構成も読みやすい。

一般的によしと思われる、いい教育を受けて、いい会社に入ってローンで家を買って…というスタイルに疑問を投げかけていますが、本当に今はそれだけじゃ生き抜けない激動の社会なのかもしれないですね。
興味深いのは、何もお金について書かれているのみでなく、いわゆる人生への態度みたいなものが全体を通して書かれているところ。

どんな境遇からも学ぶ姿勢を持つこと、変えるのは人ではなく自分であること、常に向上心を持って学び続けることなどなど。
どうしても時間が経つと忘れてしまうからこそ、手元に置いてまた読みたい。読む度に自分の到達点によって受ける印象が違う気がしています。

2017年5月3日

読書状況 読み終わった [2017年5月3日]
カテゴリ 自分を高める

自分で申し込んだ資格試験の受験日が近まるのに一向にやる気がおきない。もう少し近づいたらやる気が出るだろうか…そんなことを思いながら勉強もせず、そろそろ試験まで1か月というところで、図書館でこの本を見つけた。

今の自分には一切の勉強をする習慣がない。
やる気がなくても習慣の力とやらに頼れば、勉強ができたりするんだろうか…そんな不純な動機で手を伸ばしました。

本書自体は各種実験に基づいた理論が書かれていて非常に興味深く、「気合」でなんとか頑張るんだ、といったものと真逆に位置する確立されたシステム論でした。

習慣という枠組みをいかに作り出すかということにも興味がありましたが、印象深かったのが「忘れてはならないのは、習慣を変えるプロセスを説明するのは簡単だが、それを達成するのは必ずしも簡単ではない」として、必要な要素の1つとして変われるということを「信じること」があげられていること。
私もこれって、すごく重要な要素だと思います。
変わりたいと思うこと、変われると信じること抜きには、どんな秀逸なプログラムがあっても無意味なのかもしれません。

毎日の人の行動の実に40%以上が「その場の決定」ではなく、「習慣」だと言います。
そう考えると、習慣を作り出すことの意義は大きいですね。そんな人の習慣に目をつけて利益を生み出してきた営利企業の物語も非常におもしろい。

それから、大きなきっかけなしに変化を成し遂げた人たちの多くは、変化を信じさせてくれるコミュニティがあったというのも興味深い。
何かを成し遂げるときに、一人よりも周りを巻き込む方が成功率は上がるのでしょうね。そして、あなたならできるというメッセージを受け続けることで、確実に成功率は上がるんでしょうね。

些細なことですが、掃除の後に好きな香りのハンドソープで手を洗うことで掃除の満足度が上がるなど、習慣における報酬を意識できるようになったことが収穫でした。

2017年4月8日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2017年4月8日]
カテゴリ 自分と向き合う

タイトルから想像できるとおり、物語は手紙のやり取りを通して綴られています。
私は筆まめではないけれど、手紙が好きです。
なかなか返事が手元に届かないのがいい。ゆっくりと待つ時間は今の時代、かえって貴重な気がします。

手紙だから言えること、偽れること、明かせることがあって、それを余すことなく活用しています。
静かなトーンは湊さんらしくありながら、あまり毒がなくて安心して読めました。内容は軽くないはずなんですけどね。

4編の中では、「20年後の宿題」が一番印象的でした。
どうして大場くんに白羽の矢が立ったのか、最後になってわかるのですが、なんともまあ自己中心的な手紙もあったものだ、と読み返してみると思います。
それどころか、少し見方を変えると誰もかれもが自己中心的。そして、それは大抵悪気がない。悪気がないからこそ、かえって厄介で、なんでもない時ならさらっと流せるような自己中心さも、ひとたび大きな事件が起これば見過ごせない傷になるようです。

通常は見えない何かを、目線を変えさせることで気付かせるのが日常ミステリーだと思っています。
時間が経過して物事の捉え方が変わることによって気付くものもありますし、手紙を通してうまく読者に新たな目線を与えてくれた気がします。
最後の短編のおかげで少し明るい未来も垣間見えて、珍しく読了後心がざわつかない読み心地でした。

2017年3月20日

読書状況 読み終わった [2017年3月20日]
カテゴリ 短編集・詩集

小さい頃は思いもよらなかったです。
新聞が、こんなにもおもしろいものだなんて。

私の周りは朝日新聞を購読している人が多いこともあって、自然と共通の話題になることがあります。今やネット社会。無料でいくらでもニュースが読める時代に新聞なんて。
そう思っていた時期もありましたが、新聞のいいところは興味のあるなしに関わらず全体を俯瞰できることですね。
ネットだと、どうしても興味のある記事にしか目がいかない。時事的な要素を収穫するのにはいいですが、時代に即したドキュメンタリーなことは新聞の方が軍配が上がる気がします。

新聞を読むと、社会への関心度が上がる。
「税金を払うなんて損だ」「年金を払うなんて意味がない」
そんな思想も、社会の一員として生きていく自覚が芽生えると、思考停止して拒否するのではなく、必要性を深く実感するようになります。

新聞、値段はまちまちですが、月額で4、5千円くらいしますよね。
正直、高いなあと思ってました。
ただ、これだけの情報量(2日で新書1冊分だそうです)が、タイムリーに毎日届くなんて、考えてみれば贅沢なことですよね。
読み物としても非常におもしろいのに、それだけではなく様々な力が身に付きます。
社説を読むことで思考力が、見出しの読みくらべで見抜く力が、コラムを読むとスピーチ力が。
それに時節ものの記事では雑談力も磨かれます。

今度実家を出るにあたって新聞をとろうか迷っていましたが、やっぱり取るべきだろうという結論に達しました。
本書はどちらかというと、高校生や大学生向けにやさしく書かれた1冊です。ただ、大人になった私が読んでも非常にためになる内容でした。斎藤さんの言葉は、いつも伝わりやすいですね。

2017年1月3日

読書状況 読み終わった [2017年1月3日]
カテゴリ 社会・ビジネス
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