都内で謎の感染症が発生し、死亡者が続出。
厚労省や感染症研究所が登場し、対応に追われる。
原因不明のパンデミック。絶滅への扉は開かれた――

コロナ自粛にも疲れてきて、そうはいっても密で遊びまわるわけにもいかない。人類の生き残りをかける程の感染症をフィクションで読んで、もう少し自制心を働かせよう。
そんな意図で手にした8月発行の本書。実は2年前に発行されたものに副題をつけた形で再発行されたものでした。

息つく暇もなく、様々なことが起こる東京。
死体の描写が何とも気味悪く、実は読み進めるにしたがってぞわぞわする場面はそれだけではないと思い知らされた。
一体何が起こっているのか、時間のない中で情報を集め明るみになる事実に驚くばかりで、同時に組織の中で非常時に対応することの難しさを改めて痛感しました。ただでさえ大変な時に、嫌な上司や同僚がいると心が疲弊しますね。

非常時に、どこまで国民に情報開示をしていくか、という難しさも。情報開示は大事なことだと思いますが、一度流れた情報はもう止められず、不安な情報しかなければパニックを引き起こす。かといって、閉鎖的に議論してても危機感は伝わらず不信感が募るばかりだし、事実関係の整理すら追いつかない状況では誰が責任をもってどこまで伝えるのか、白黒はっきりしないものへの対応に日頃からどんな備えができるのか、なんて本筋から離れたことも考えさせられました。

今までに5回もあった大量絶滅。人間もいつかきっと滅びる日がくるのでしょう。地殻変動か、人間自身によるものか。フィクションだけど、現実と地続きで、読み応えのある一冊でした。
この時期に再刊行した判断は素晴らしいですね。

2020年8月10日

読書状況 読み終わった [2020年8月10日]
カテゴリ 日本の小説

家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園で起きる、不可思議な事件の数々。そこで働く保育士2年目の春菜と謎解きを大きく助けてくれた児童福祉司海王。

第18回鮎川哲也賞受賞作にしてデビュー作ですが、プロ作家の別ペンネームなのでは――?そう疑われたという程の完成度。
構成から登場人物からミステリまで、すべての完成度が高い。児童福祉に造詣が深くて、かといって子どもたちにも寄り過ぎず、絶妙なバランスで描かれたこの世界、本当に素晴らしかったです。

扱っている題材は重たいものです。
それが、海に近い田舎を舞台に、心地いい風を自然を感じつつ繰り広げられ、暗くなり過ぎない。思わず夢中になって読みました。暗くなり過ぎないのは、希望も同時に散りばめられていたから。

殺人事件とは違う日常ミステリ。
「いつも全部の謎が解けるとは限らない。不思議なことは不思議のまま残しておいてもいいんじゃない?」という言葉も好きでした。日常において、その感覚は大事な気がする。

ミステリであると同時に、保育士2年目の春菜の成長物語でもあります。当初は「児相なんて」と抱いていたマイナスの感情、学習より前に1番基本の『生活』を落ち着いてできる力をつける方がずっと大事だと信じて疑わなかった純粋さ、人との関わりや目の前の現実と向き合う中で少しずつ変わっていく考え。そこもまたすごくよくて。

それから天才的なまでに美しい回文。
文字遊び、というんでしょうか。上から読んでも下から読んでも同じ、という言葉作り。私はせいぜい5文字程度のものしか作れないかもしれない…こんな美しく、状況に合わせたものを作り出せるなんて、と何度感動したかわからない。

空に輝く星みたいに、一見わからなくても、名前がないように思えても、その1つ1つがきちんと輝く星。
それらが繋がり星座になる。
最後まで読み終わってまたこの作品の全体としての素晴らしさに気づかされる。余韻も残り、この本のおかげで、いい休日が過ごせました。続編があって嬉しい。読むのが楽しみ。

2020年8月8日

読書状況 読み終わった [2020年8月8日]
カテゴリ 日本の小説

再読です。
以前読んだのは15年も前でした。
冒頭では「本書を繰り返し読んでほしい。そのたびに新しくかつ有益なものを見いだすはずだし、それによって変化に対応し、どのようなものであれ自分にとっての成功をおさめてほしいと思う」と書かれています。

社会に出て何年も経った今の方が、何倍も心に刺さりました。
難しい言葉ではなく、チーズを探す2匹と2人の物語に詰め込まれた、「変化に対する適応について」は、共感する部分と、背中を押されて励まされる部分とあり、改めてこれは世界中から愛される物語だと感じたところです。

基本的に変化はしたくない、というのが根底にある。
けれど、「変化は、災難に見えても結局は天の恵みだった」という言葉は、今ならすごくよくわかる。
それに、恐怖が自分を動けなくさせていることや、恐怖がなかったらどうする?という問いかけがいかに重要なことかを自覚させてくれます。
変化なくして恐怖なし。
予期していようといまいと、つねに変化は起こるのだから、変化は起こるもの、として捉えて対応すること、恐怖を感じても実際に動き出すこと、が大切ですね。

変化に対応するのにはエネルギーもいるし、頭でいろいろ考えてしまうと先に進むのがどうしても怖くなってしまうけど、本書がくれた大切なメッセージを受け止めて、きちんと前に進んでいきたいと思えました。

「物事を簡潔に捉え、柔軟な態度で、すばやく動くこと」
「問題を複雑にしすぎないこと」
「恐ろしいことばかり考えて我を失ってはいけない」
「小さな変化に気づくこと。そうすれば、やがて訪れる大きな変化にうまく備えることができる」
「変化に早く適応するこ。遅れれば、適応できなくなるかもしれない」
「最大の障害は自分自身の中にある。自分が変わらなければ好転しない――」

2020年8月8日

読書状況 読み終わった [2020年8月8日]
カテゴリ 自分と向き合う

4つの短編婚活ミステリー。
これは、いわゆるイヤミスと言われるもの。
リアルなどんでん返しが待っていて、読んだ後はぞくっとしたり、なんとも言えぬもやもやが残ったりします。

婚活も結婚相談所から街コン、代理婚活まで取り揃えていて、婚活中の人も、婚活ってどんな感じ…?なんて人も読みやすい。さくさく読み進められます。

本書でも一部で触れていますが、婚活は就活に似ている。いいご縁に恵まれるように、見る目を養い自分を磨き…それでも予期せぬことはいくらでも起こる。
そして、その先にある結婚生活はどんなものか。
別れなければずっと続く結婚生活。

最後にすこし温かい気持ちになって読み終えられる一冊でした。

2020年8月8日

読書状況 読み終わった [2020年8月8日]
カテゴリ 日本の小説

学校ではお金に関する教育を受けてこなかった。
だからこそ、こういう本はいつも気になってしまう。
日本で初めてお金や経済について学ぶ「ファイナンシャルアカデミー」を立ち上げた著書の、お金に関する入門書。

7つの章に分かれていて「お金についての考え方」から始まり、「お金の貯め方」「使い方(小さなお金篇、大きなお金篇」「稼ぎ方」「増やし方」「維持管理」「与えること」と多くを網羅して書かれています。

「お金の教養」はこれからの格差社会を生きるために必要不可欠、というのは、本当にその通りだと思います。

特に印象的だったのは、「マイホームは買った方が得か?借りた方が得か?」の話。よくあるこの論争、金銭的な部分だけでは導き出せず、結局はその人が何を大事にするか、とか価値観による、なんて結論になることが多い。
ところが本書では、もちろんそれは前提としつつも、利回りや資産価値を元に具体的な数値を見ていくといいと示しています。
つまりは、①利回り…物件価格は家賃の200倍か?(その辺の相場家賃に200を掛けた金額より、買う物件が高いか安いか)、②資産価値…30年後にどれくらいの価値があるか?(立地をよく考えて、「今」だけでなく「将来」も想定する)というポイントを示しているのが非常に勉強になりました。
私は今のところ賃貸派、ですが、いつか家がほしい、なんて気持ちになる日がくれば、このことを思い出してみようと思います。

わかりやすく書かれていて学びとなるいい一冊でした。

2020年8月1日

読書状況 読み終わった [2020年8月1日]
カテゴリ 自分を高める

奇妙な女性の死体が立て続けに発見される。
共通しているのは、送信者不明のメール。
謎の妊娠、呪い、死までの残された期限はわずか1カ月。

アイディアマン、山田さんの著書。
映像化してもホラー作品として怖いかも…と思いながら、この死体は映像化できないな、と思い直す。
ホラー作品すべてに共通することですが、読んでいて気持ちいいものではないものの、若干22歳の著者が書いたのだと知ると、やっぱりすごい、と思わされる。

2020年8月1日

読書状況 読み終わった [2020年8月1日]
カテゴリ 日本の小説

初読み作家さんのミステリ連作集。
登場人物が随分ユニークでキャラが立っていて面白い。
人気ミステリーといえば、名物探偵、とか、でてきますもんね。
短編集だけあって、それぞれ主人公がいるのですが、1番好きなのは超限探偵Σでしょうか。論理的な天才。
等身大な、一緒に頑張って謎を解いていくタイプもいいんですが、小説ならではの超天才キャラって、いつも惹かれちゃいます。安定感と安心感が抜群。

さて、肝心のミステリーですが、どうでしょうか。
短い物語だけあって、謎解きゲームのような味わいです。
それにSF要素も混ざった、ユニークな仕上がり。
死亡推定時期は150万年前…とか、随分と飛躍した要素も出てきて最初は面喰ったりもしたんですが、そういうものだとわかって読むと楽しめます。
他の作品も読んでみたい。

2020年7月26日

読書状況 読み終わった [2020年7月26日]
カテゴリ 日本の小説

読み終わって、静かに感動が心に広がっていく。
あとがきから引用すると
「人生はままならないものだから、落ち込むことはたくさんある。でも、ほんのちょっとの気づきが、ほんの一歩を踏み出す勇気が、見える景色をがらりと変えてくれることがある。この短編集は、そんな幸福な瞬間のアソートボックス。」なのです。

「自由」でも「自立」でもなく、「独立」
"独立" って格好いいですよね。とても前向きで、未来への期待に満ちていて、輝かしい。
年齢も住まいも異なるさまざまな女性が描く独立の日々。
わき役だった彼女が、次の章では主役になる。
そんな繋がりがまた温かくて、そして「独立」の形も人それぞれなことに勇気づけられて、特別なんだけど、日常の中にたくさん存在している独立のかけらが希望に満ちていて、なんだか、本当に感動したのです。

短編集だけあって、1つ1つの物語はとても短い。
にもかかわらず、こんな風に人生が輝く瞬間を詰め込んだ金平糖のような物語が紡げることに驚きました。
時間差でくるこの余韻にまだ少しドキドキしています。
新たな門出への贈り物にもいいかもしれないですね。

2020年7月25日

読書状況 読み終わった [2020年7月25日]
カテゴリ 日本の小説

とある王国で囚われた盲目の王女、レイア。
父の寵愛を受け、物語に囲まれて過ごした日々が、ある日を境に一変する。至上の美を誇るゴシックミステリ。

なにやら、どんでん返しがあるらしい、そうあらすじを読んで、レビューなどうっかりネタバレ要素がありそうなものはなるべく視界に入れないようにして、読むのを楽しみにしていた1冊です。

結果、どんでん返しも楽しめた。
けれど、私はそれ以上にこの耽美な世界に酔いしれた。
囚われて制限された生活だからこそ、与えられた良質の本や音楽を足掛かりに、どこまでもその世界にのめり込める。それがいかに贅沢なことか。
いや、本当はそんな囚われた生活よりも自由の方が望ましい、そう頭では思うのに、どうしても酔いしれてしまう。
精神世界はどこまでも自由で豊かで、どこへでも羽ばたいていける。不自由な者のみが手に入れられる自由、というものにすっかり私自身囚われてしまった。

麻薬のように甘く美しい世界に触れ、何日も余韻が消えず、正直困った。思い返してもドキドキする。

2020年7月5日

読書状況 読み終わった [2020年7月5日]
カテゴリ 日本の小説

私はソーシャルワーカーとして働いて9年目になります。高齢分野で4年、児童分野で5年目。

日々の仕事の中で難しいことはそれなりにあるものの、大きく困ることはなくなってきた。今の所属に同じ職種の人はおらず、他職種との連携が多い。他の専門職を見るにつけ、ソーシャルワーカーの専門性とはなんだろう、と考えることが増えた。専門職には、言語化と体系化が欠かせないものだと思っているけど、それが上手くできない。
そんな折に、この本に偶然出会った。何かの縁でしょう。いそいそと購入した。

芦沢さんと山岸さんが事例を通して示してくれた葛藤や喜びは、すごく、よくわかるものでした。

私は自分の役割を、「困難に陥ったとき、ともに歩む者」だと思っている。代わりにやることでその人のできる力を奪うのではなく、力づける、支える、そばにいる、ことを通してその人の力を引き出す支援がしたい。

本書には何度も頷く共感できる部分もあれば、胸に響く言葉もあった。
いつだって、相談は一期一会の真剣勝負だ。支援者側の引き出しの多さで、提供できる支援が変わっくる。昔は、引き出しの多さとは、「制度に対する知識の量」だと思っていた。でも最近は、「ソーシャルワーク力」とでも言おうか、本当にその人が必要としていることを引き出し、解決に繋げる力、なのかもしれないと思う。

まだまだ失敗もするけれど、私も私が思い描くソーシャルワーカーになりたい、と思い続けながら、ソーシャルワーカーとして仕事をしていくのだと思う。

本書を読むことで私自身振り返りができ、非常に有意義だった。そして本書で紹介されている本もぜひ読んでみたい。

2020年6月28日

読書状況 読み終わった [2020年6月28日]
カテゴリ 福祉

月収100万円という破格の仕事。
仕事内容は、刑務所の地下でモニターを見るというもの。
モニターの先には、無数の地雷で隔離された地帯に住む少年少女たちの姿。
そして別のモニターには、牢獄に入った中年の女性の姿。
彼女たちは一体…?

あっという間に読み終えちゃうのですが、つくづく山田さんのアイディアは面白い。
刺激的で、ゲーム的。
実はこちら「スイッチを押すとき」の続編なんですね。
知らずに読んでも楽しめましたが、知ってて読んだらもっと楽しかったかもしれない。

行間を読むような深みのある本もいいですが、サクサク読めてスカッとする本書みたいな本もいいですよね。
あらすじ読むと毎回気になって手に取ってしまう。内容はそれなりに壮絶なんですが、そう感じられないのもまたゲーム的。本書はグロテスクになってしまうので適さないかもしれないけれど、山田さんの本は映像化にも適していそう。

2020年6月28日

読書状況 読み終わった [2020年6月28日]
カテゴリ 日本の小説

「聴覚障がい者」が一般の小説に登場することは稀にあるけれど、「手話通訳士」が登場する作品には初めて出会いました。私自身大学で手話を知り、今は実際に手話通訳者として通訳をすることもある。
だからこそ、本書はずっと気になっていました。
そして、読んで衝撃を受けた。

手話通訳士も「ちょっと特殊な仕事をする人」みたいな位置づけで登場するのかな、と思っていたら、随分踏み込んだ内容でろう者を取り巻く世界が描かれていた。
そう、本書には「ろう者」や「ろう文化」「コーダ(Children of Deaf)」「日本手話」などが登場するのです。参考文献を見てもわかるとおり、すごくよく調べておられる。むしろ、未読の参考文献も多く通訳者として恥ずかしい…。

法廷の手話通訳、として真っ先に思い浮かべたのは「蛇の目寿司事件」です。
1965年9月19日、東京上野の寿司屋「蛇の目寿司」店内で聴覚障害者の男性と他の客とが争いを起こし、止めに入った店主を聴覚障害者が頭部強打で死亡させた事件。
被告のろう青年は、自分が手話で語る時間の長さに比べて、通訳者の発言時間が短すぎるなどの根拠により手話通訳者の交代を何度も願い出た。これに対し、手話通訳者は「冗長すぎる部分は簡潔に要点をまとめた」と回答している。
通訳者の横暴に驚くけれど、手話を使う聴覚がい者は、長く軽んじられてきた歴史がある。

けれど、彼らの世界に親しむにつれ、「聞こえない人」はいつしか「ろう文化を生きる人」「ろう者という誇りを持つ人」へと変換された。日本手話が紡ぐ豊かな情景に触れて、こんなにも美しい言語に出会えて幸せだと思った。

そんな世界が、本書を通じて垣間見れるのだ。
違和感を覚えるところが皆無なわけではないけれど、そんなものはすぐに吹き飛ぶ。ミステリーとしても面白い上に本書がデビュー作だというのだから驚かされる。

未読の方は、私たちの身近にあるもう1つの世界を知る足掛かりに、ミステリー小説としても期待して読んでもらいたい。

2020年6月28日

読書状況 読み終わった [2020年6月28日]
カテゴリ 日本の小説

いつか読む、と決めていたからこそ、あえて本書の情報入れないようにしていた。
本屋で平積みされていたのも覚えているし、私自身いつ読むんだろう、と思ってた。
だからいざ読み始めたら、主人公と同い年なのに驚いた。
そんな共通点に限らず、今の自分に必要、という最高のタイミングで出会えることがあるから読書はやめられない。

村上春樹さんは、「ノルウェイの森」を2回読んだくらいで、私にとって馴染みのない作者。「ノルウェイの森」の衝撃が強すぎて、以降読めなかった。でも、「ノルウェイの森」は3回目をきっと読む。好きか、と聞かれると、そうではない、と答えてしまうのに、囚われてしまう。読むたびに解消度が上がる。1回で全貌を見せてくれない。いや、こちらの力量が足りなかったのだ、と思う。

ひんやりとした深い孤独に包まれた精神世界。読むと現実世界に戻ってくるのに時間がかかるので、なかなか手を伸ばせなかった。
読み終わってタイトルを見てみると、随分詰め込んだものだ、とにやりとしたくなる。
調和のとれた固い結びつきの5人グループで、唯一名前の色を持たなかった青年。それが、多崎つくる、だった。

他の4人は、赤松慶、青海悦夫、白根柚木、黒埜恵里、とみな名前に色を持つ。
本書はニューヨークタイムズベストセラー第1位らしく、世界的にも人気な村上春樹さんだけど、漢字がある日本だからこそ、この色のついた名前にまつわる面白さがわかるんじゃないか、なんて思って英訳を少し読んで自分の過ちに気付いた。
Two boy’s last names were Akamatsu—which means “red pine” – and Oumi – “blue sea”, the girls’ family names were Shirane – “shite root” – and Kurono – “black field.”
正直、日本語では赤、青、白、黒、と名前の色だけに注目していたから気付かなかったけれど、英訳されたものを見て初めて、なんて格好良い名前なんだ、と驚いた。英訳されることも念頭に置いて書かれたんだろうなあと、感動した。

内容としては、謎が謎のまま残されていて、あれはいったいどうなったんだ?!のオンパレード。続きが気になって読み進めていただけに、読了後はもやもや。ただ、実際のところ全て種明かしされてスッキリ!なんて、現実の世界ではないよな、とも思う。

読むのには、まとまった時間と心に余裕が必要でした。

2020年6月21日

読書状況 読み終わった [2020年6月21日]
カテゴリ 日本の小説

絶対におもしろい。その確信のもと、購入してから積読し、いつ読もう、いつ読もう、と楽しみにしながら持ち続けていた本書、ついに読みました。
期待を超えるおもしろさ。余韻も残ります。

「大穴」と書いて、ダイアナ。
なかなかにインパクトのある名前の主人公です。
本好きな彼女の学齢期を追体験しながら、自分とは違う世界への憧れや特別な一冊との出会いを楽しみます。
ダイアナのままならぬ境遇にやきもきしつつも、どこか児童書を読むような気分でいた。

もう1人の主人公は彩子。
私が小学生の頃、クラスに彼女によく似た子がいたのを思い出す。
2人はどんどん成長し、彩子はついに大学生になる。
そこで遭遇する思いがけぬ事件に度肝を抜かれました。

なんと。
突然現実が降ってきたかのよう。事件そのものよりも、私はその後の心理描写に驚いた。人の心理とは、なんと不思議なものか。納得すると同時に苦い気持ちになる。

どんな逆境も、乗り越えられる。
強みも弱みも併せ持つのが人間。
本を通して生きる勇気を貰える。

たくさんのメッセージが散らばっていました。
好きだなあ、この本。
余韻に浸りながら何度も思うのでした。
読み終わったばかりなのに、また読みたい。

2020年6月18日

読書状況 読み終わった [2020年6月18日]
カテゴリ 日本の小説

数十年ぶりに再会した高校の先生との恋。
それは、恋と呼ぶのでいいのだろうか、と少し迷うけれど、あれは確かに恋、なのだと思う。
37歳ツキコと70歳を越えるセンセイ。

肴の好みや距離の取り方が似ている2人。
燃え上がるような恋、とは違う。
けれど、ふと頭に浮かぶ、不在をすこし寂しく思う、時に、おかしいくらいに緊張させられる、これはまさしく恋。

季節は移り変わって、忙しい日もあり毎日はどんどん過ぎ去って、そんな隙間にふと、その人の存在がある。
ツキコは私と年齢が近い。
だからこそ、70代への男性への恋、というのが、どうしても老いが前面に感じられて共感しがたい、ように思った。
実際、ツキコもセンセイの「老い」を感じている。

一方で、根底にある寄る辺のなさやふいに襲ってくる孤独、老いへの恐れ、不器用さ、はとても身近で、私の知っているものを思い出させた。

時間は確実に過ぎている、それなのに、どこか夢見心地な、不思議な時間の流れが混ざる。どこか怖いけれど、浸りたくなる世界観ですね。

かな遣いがまた素晴らしい。大人の女は、いくつになっても内に小さな子どもを秘めている、と私も思っています。本当に、いくつになっても。

どこまでもどこまでも孤独、なのかと思いきや、思わぬラストを用意してくれた。
未読の方は、読んでからのお楽しみです。しずかな読書が楽しめます。

2020年6月14日

読書状況 読み終わった [2020年6月14日]
カテゴリ 日本の小説

実は川上弘美さんの本を読むのは今回がはじめてでした。
解説で平松さんの書かれた「寄る辺のなさを純化する」という表現がぴったりの、7篇の短編集でした。

クローンの女の子、見ず知らずの人を泊めてしまう継母。
壁に登る男。しっぽのあると言う女の子。
ユニークな登場人物は少しクセがあって、正直最初は面喰った。それが、読み進めていくうちに文体が肌に馴染んで、もっと、読みたくなる。ひんやりした孤独と近過ぎない人との距離感。

年老いた母との旅行を描いた「夜のドライブ」
11歳年下の男の子を恋した日々を描いた表題作。
その2篇が特に大好きでした。
特別でない日常なのに、胸がきゅっとする。余韻も残る雨の日にもぴったりの1冊でした。

2020年6月13日

読書状況 読み終わった [2020年6月13日]
カテゴリ 短編集・詩集

しばらく小説離れしていたリハビリには最高の1冊でした。
本を愛する人へお勧めの、児童書のような読みやすさで、それでいて対話もできる良書です。

忙しい日々の中では、じっくり向き合う読書からは遠のきがち。時には仕事や生活に役立つ知識も手に入れたい。
そう思うにつけ、より短時間で、より速く読みたい。
そんな人も多いからこそ、要約本も売れるのでしょう。私も漏れずに手を出したことがあります。

読書と登山は似ている、と思う。
それは本書でも書かれていた。
"愉快な読書もよい。けれども愉快なだけの登山道では、見える景色にも限界がある。道が険しいからといって、山を非難していてはいけない。一歩一歩喘ぎながら登っていくこともまたひとつの登山の楽しみだ"
"どうせ登るなら高い山に登りなさい。絶景が見える"

読み継がれている本は含蓄に富んだものが多い。
本を読む筋力のようなものも求められるため、忙しい時程離れがちです。運動不足でいきなり挑戦できるものではない。それでも、時間を捻出して日々できる運動をしながら挑戦するだけの価値のあるもの、であることを久しぶりに思い出させてもらったような気がします。

本は、本当にいいですよね。
「時代を超えてきた古い書物には、それだけ大きな力がある。力のあるたくさんの物語を読めば、お前はたくさんの心強い友人を得ることになる」
「本には大きな力がある。けれどもそれは、あくまで本の力であって、お前の力ではない」とは祖父の言葉。
共感しつつ、染み入ります。

手早く電子書籍も読みますが、「紙の本を時間をかけて読む」という過ごし方をしたくなる。
まさに今読めてよかったです。

2020年5月30日

読書状況 読み終わった [2020年5月30日]
カテゴリ 日本の小説

奨励会の厳しい年齢制限。26歳までに4段に昇給しなければ、プロ棋士になる道は完全に閉ざされる。
青春と情熱のすべてを将棋に注いだ若者にとって、その恐怖と絶望がいかほどのものか。想像するだけでも恐ろしい。
そんな将棋界に、アマチュアからプロ棋士になり、異例の「プロ編入制度」足掛かりを築いた、瀬川棋士の自伝。

瀬川棋士のプロへの軌跡と、諦めずに進んでいけば、必ず夢は叶うというメッセージが詰まった1冊です。
瀬川さんを含めて素敵な登場人物がたくさん。
子どものやりたいこと、好きなことを応援し、見守ってくれた両親。時び厳しくも励ましてくれた兄たち。
すこし風変りだけれど等身大の子どもの姿を見続けてたくさん褒めてくれた小学校の先生。
そして不思議な絆で繋がった奨励会の仲間たち。

中でも今私が子どもと関わる仕事をしているからこそ余計に感じるのかもしれないけれど、小学生の先生の子どもたちへ与える影響の大きさは計り知れないですね。
本当に素敵な先生ですね。良いところを見つけて褒める、ってすごく大事。

「好きなことを仕事にする」とは、奇跡のような素晴らしいことで、とても自由で、同時に強く自己責任が求められる厳しい世界。
あとがきの時点では、プロ編入制度へ挑戦した人が4名いたけれど、厳しい条件を前にプロ入りは叶わなかった。そこから11年経った今、その制度を使ってプロになった人が4名いることが調べてみたらわかった。

条件も厳しく、間違いなく高いハードルであると思うけれど、瀬川さんたちが巻き起こした革命は、年齢制限で諦めずにプロになれた棋士を誕生させたんだ、と思うと
胸が熱くなりますね。

読書感想文などの課題図書に選ばれるのも納得の素敵な1冊でした。

2020年5月30日

読書状況 読み終わった [2020年5月30日]
カテゴリ 日本の小説

小説を毎日読んでいる人、これが生まれて初めて読む小説だという人、どちらのレイヤーの人でも楽しめる本を目指して書かれたという本書。
「中篇・中篇・中篇・終章」からなる1つの大きな物語。
第1章 「弓投げの崖をみてはいけない」 死んだのは誰?
第2章 「その話を聞かせてはいけない」 なぜ死んだの?
第3章 「絵の謎に気づいてはいけない」 罪は誰のもの?
終 章 「街の平和を信じてはいけない」 ……わかった?

どの章も最後に思わぬ仕掛けが用意されていて、おもしろい。実は最初さらさらと読んでいたため、気付かなかったこともたくさん。
他者が書いたミステリーの考察が大好物なのですが、それを読んだ後の2巡目がまた面白い。
違った景色が見えてきます。そして、思いもよらぬところが気になりだす。友人にもらった本ですが、これは誰かと同時に読んで、一緒に語り合いたくなる。あそこに気付いた?これはどういう意味?と。

ネタばれにならないよう語るのが難しいですが、ミステリーとしても、物語としても楽しめました。
自分の引き出しがもっとあれば、きっとにやりとできる場面がそこかしこにあっただろうに、そこは残念。

些細なエピソードや描写がその人の人となりをよく表していて、あれ、道尾さんの小説、こんな感じだったっけ…とひどく新鮮に感じました。
これから先もまだまだ読めるのが嬉しいし、本当に楽しみです。

2020年5月3日

読書状況 読み終わった [2020年5月3日]
カテゴリ 日本の小説

飛行機乗りを夢見た少年は、後の大戦で零戦を乗りこなすエースとなった。撃墜王とも呼ばれた坂井三郎さんの迫真の記録です。

積読になっていたこの上下巻、読みたいと思った経緯は何だったのか詳細は思い出せませんが、「SAMURAI」の名で世界中で読まれた本であり、読めてよかったと思っています。

上巻を読み進める途中で、今読んでいるこの世界と自分の世界は地続きで繋がっているんだ、という事実に体が冷気に包まれたような冷たさを覚えました。
次から次に人が死んでいく。常に死が隣り合わせの世界です。

最初、あまりにも詳細に日々のことが書かれているのに驚きました。人間の脳はその大半が使われずに眠っているといいますが、窮地に立たされていた人間の脳は活性化してより多くのものを保持するのでは、なんて思ったほどです。

一歩違えば死んでいた、そんな奇跡のような一本道を歩んだ坂井さんですが、読み進めていくとそれが運によるものだけでないことがわかります。
戦闘機乗りで何よりも大事なのは視力。その視力を磨くために真昼に星を探したり、遠い山の境界線にある樹木の格好を細かい枝ぶりまで見極めたり、日頃から尋常じゃない訓練をしていたことを知りました。
他にも判断力や瞬発力を磨くために独自で考え実行していた訓練の各種。それらがあったからこそ、ギリギリのところで生き残れた、言い換えれば、坂井さんでなければ死んでいた場面が山のようにあったと思います。

幸いにも今は戦時中ではありません。
けれど、コロナの流行による緊急事態です。
未知のものを前に生き残るためには、何が必要なのか。考え続けること、備え続けること、決して諦めないこと。時代を越えて学ばせてもらったように感じます。

2020年5月3日

読書状況 読み終わった [2020年5月3日]
カテゴリ 社会・ビジネス

4月から施行される改正児童虐待防止法により、親の体罰禁止が盛り込まれた。
今は子の面前の夫婦喧嘩も虐待になると言い、一昔前の「愛の鞭」「叩くのはしつけ」から180度転換した。もちろん、昔だって手をあげていない親もたくさんいたけれど。

どうして面前での夫婦喧嘩がだめなのか、体罰がだめなのか、それはすなわち「子どもの脳を傷つけるから」だと、最近になってわかってきたからだ。
本書は、不適切なかかわりが子どもの脳を変形させることへの警鐘と、回復への道筋について書かれている。

「虐待」というのは強いワードで、一生懸命子育てをしている人からしたら、「虐待なんてしていません!」となる。
そこを、「マルトリートメント(不適切)」とすると、まったくない親はいないと言える。けれど、マルトリートメントの強度や頻度が増すときに、こどもの心は確実に傷つき、成長過程の脳に変形する可能性があることを、大人は忘れちゃいけないのだと思います。

少し読み進めてはあの子の顔が浮かび、もう少し読んでは別の子の顔が浮かび…
本書にはケーススタディも書かれているのが、すごくいいです。そして、データを提示するだけで警鐘をならすのではなく、その先の回復への道筋として根気強く関わっていくことの重要性を書かれているのもいい。

子どもを大事に思っていない親なんていないのに、閉鎖的な空間で誰からも褒められることなく、必死に子育てしていると、ついつい不適切な関わりをしてしまう。
それは、責められることではないのだと思うのです。

けれど、子どもが健やかな成長のためには、不適切な養育に気付いた周りの大人が、適切な専門機関に繋げることでボタンの掛け違いを早期に直すことが大切なんだと思います。
親や身近な大人が子どもに対して「積極的に使いたい3つのコミュニケーション」、手帳にメモしました。

2020年2月24日

読書状況 読み終わった [2020年2月24日]
カテゴリ 福祉

通勤途中にある本屋さんに「この本のタイトルは、当店の書店員がつけました!」と張り紙があった。
どうやらタイトルを全国の書店員から募集して決めたものらしい。普段寄る本屋の書店員が命名者。これも何かの縁だろう、と思って購入。

可愛らしい装丁とキラキラしたタイトルから想像していた内容に反して、なかなか重い。
ミニスカートを履きこなし、自由奔放で人気者な恋人もいる母。ケチで家族からはおっさんと呼ばれ嫌われている父。

ある場面では、「わたし」は、母から教科書代を父に請求するように言われる。いざ請求したら、お年玉はないのか、今は財布に金が入っていない、と断られる。
もはや、「家族」は崩壊しているのでは。育児放棄ですよね、これは。そう思う場面がいくつも出てくる。

読み進めていくうちに、これはもしや自叙伝なのでは?書くことで昇華しているのでは…?そんな風に感じながら、ほろりとしつつも読み終える。

あとから著者を調べてびっくり。
著者は世界No2の営業ウーマンで、女性ビジネス書作家の先駆けとして多数の本も出されていた。
「プラスに考えても、マイナスに考えても、起こった事実が変わらないのであれば、プラスに考えたほうが人生はうまくいく」という彼女独自の陽転思考の啓発も行っていた。

厳しい人生を生き抜いてきた人ほど、その人なりの人生の必勝法、みたいなものを持っている気がします。
一方で、厳しさに打ち負かされて心を病んだり、社会に適応できなくなる人も多い。その違いは何だろうか、とよく考えるのですが、1つはどんな環境でも「自分は愛されている」と実感できる瞬間があること、だと思っています。
もう1つは、人との繋がり、だと思います。崩れてしまいそうな時に引き上げてくれる人、支えてくれる人、助けてくれる人、など頼れる誰かがいることが大きいのではないかと思ってます。

偶然手にした1冊でしたが、いろいろと考えさせられて、読めてよかったです。著者のほかの本もぜひ読んでみたい。

2019年10月19日

読書状況 読み終わった [2019年10月19日]
カテゴリ 日本の小説

ずっと気になっていて、早く読もう、と思っていながら、なかなか心の準備ができずにようやく読めました。
下手なホラーよりも怖い。と同時に、深く納得するものでした。
同じものを見ても見え方が違う。
それは異なる文化や境遇で生きている者同士でも言えることですが、見る力、聞く力の足りなさにより歪んで認知されることによる見え方の違い、というものもあるということに思いを馳せられる人がどれだけいるでしょうか。

著者は、病院に繋がるような子はまだいい、と言います。
家では虐待を受け、学校では問題児扱いされ、何の支援にも繋がらず、放置された子の行く末は、ほぼほぼ非行。
誰か1人でもその子の能力ときちんと向き合い、継続して関わり続ける大人がいるだけで、その後の人生が大きく変わると思うのですが、ただそれだけのことが、本当に難しい。

全ての人がそうとは言わないけれど、課題を抱える子の親もまた課題を抱えていることが多く、境界性と言われるグレーゾーンで生きづらさを抱えていたりする。
どこまでその親と繋がれて関係が築け、子の支援へと繋げていけるかは乳幼児期からの丁寧な関わりに尽きるのかもしれない。

褒めるばかりではなく、基礎的な力を伸ばすトレーニングこそ根本解決には必要、というのは最もですし、教育現場がその要になるのもわかります。
けれど、担任だけにそれを求めるのは酷でしょうね。
一朝一夕で変わるものではなく、なんと根気が求められることか。現場で頑張る先生たちには本当に頭が下がります。

手帳取得もできない軽度の知的障害や発達障害の子や親は、制度的な支援には繋がりにくいけれど、困ったときには(お金がない、とか、具体的な例も伝える必要があるかも)SOSを出してね、と伝えていくこと、また伝えてもらえる関係を作っていくことが福祉の現場でできることの1つなんじゃないかと感じてます。
教育と福祉の連携、まだまだですが、今後も邁進していきたい。改めて危機感を覚えつつ気持ちを新たにしました。

2019年10月6日

読書状況 読み終わった [2019年10月6日]
カテゴリ 福祉

これは、読み進めるのが、相当にしんどかったです。
放火により元恋人の妻と子を殺した罪に問われた女性の物語です。

「十七歳ホステスの私生児」「養父からの虐待」「中学時代の強盗致傷事件で施設入所」、彼女を形容するキーワードから描かれるイメージは、決していいものではないはず。
一般論ではない個別の事象について、その背景も知らないのに。

知人が未遂ながらもニュースになるようなことをしてしまった際、うっかり目にしたYahooニュースのコメント欄は、それはもう酷いものでした。
もちろん犯した罪はいけないこと、ですが、「その年でアルバイトかよwww」から、人格否定までされると、「あなたに何がわかるんだ」と言い返したくなる。
実際のところ、普段私が目にするニュースも、似たようなものばかりと感じていながら、その背景にはそれぞれの事象がある。だからこそ、ステレオタイプ的に何かを断定してはいけないのだと思う。

と、脱線したけれど、話を本書に戻すと、私は彼女の境遇が不憫で、読むにつけ苦しかった。
人との出会いが人生を変える。
そんな人生の分岐点で、常に不運の道へ進んでいく。負のスゴロクのような人生。
幼少期に必要とされなかった経験は自尊心を失わせるし、性的虐待で傷つけられた心は諦めと不信を生む。
翔のように恵まれた人生と、そもそも土台が違うのだ。

だから仕方ない、という話ではない。
自力でどうしようもないこともある、からこそ、彼女が間に合う内に出会ってほしかった。自分のことを大事にしようと思える人に。

読んでいて、「連鎖」という言葉が連想された。
負も正も、連鎖する。
彼女にとっては救いを求めた光だし、彼女なりに願った「誰も傷つけない方法」を責められない。けれど、描かれなかったこの物語の先で、全てが明かされた暁には、彼女に関係した多くの人は重責を抱えて生きていくこととなる。
人が1人で生きていない以上、誰にも影響しない、なんてことはそうそうない。

一方で、翔の祖父が話した仕事論は、世代を超えて受け継がれる正の遺産だ。前向きに生きる、力を与えてくれる。

どんな人に出会えるか、どんな人の中で生きていくか。
幼少期こそ特に、運でしかない。
自分ももしかしたら、誰かの分岐点にいるのかもしれない。そんな時、その人にとって少しでもプラスな方向を示せる人でありたい。そんなことを思いました。

2019年5月4日

読書状況 読み終わった [2019年5月4日]
カテゴリ 日本の小説
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