月の影 影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)

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本棚登録 : 3815
レビュー : 322
著者 :
制作 : 山田 章博 
urarinchoさん  未設定  読み終わった 

うおー、面白かった。いや、前巻の苦しい気持ちばかりだったのが急展開。
楽俊と出会い、十二国の世界を教えてもらい、見捨てて見つけて。楽俊の物言い一つ一つが優しいんだな。陽子のことを思って語る。壁落人から胎果と告げられ、「おー、高里と同じだったか」と合点。そして、慶国の新しい王であるとわかる。「決して王以外の前で膝を折らない」、あーだから高里は謝らなかったのだ、と。
陽子が新しい慶の王だと気付くくだり。楽俊と陽子のやり取りに涙。「私が遠くなったんじゃない。楽俊の気持ちが、遠ざかったんだ。わたしと楽俊の間にはたかだか二歩の距離しかないじゃないか」。そして、楽俊を抱きしめたくだりに伏線があったとは(笑)
草も木も人も獣も木に生るという設定は、なんだかすごい発想だなあ、と感心。神頼みもない。あくまでも自分の判断、力量によるものだと。なんだか訴えるものがあるなあ。

で、延王の登場。いやいやドラマだわ。まあ、エライ人が普通に接近してくるなんてのは、ままよくある登場シーンだけど、話にのめり込んでいるから、陽子や楽俊と同じように、ポカーン。えーーー!?って感じで。
そして、延王に謁見する際、楽俊が人間の若者の姿になった時のやり取りがね(笑)

「正義と慈悲だけでは国は治まらぬ。」人の世のなんとも哀しきことか。
「行ったことの責任を取る覚悟さえあれば、好きにしていいんだ」延麒の言葉は、自らにも刺さる。
「わたしは、自分がどれだけ醜い人間か知っている。」そう思ってわかっていても、やはり醜い人間の生き方しかできないんだよね。
ジョウユウの一言。「わたしは知っている。」それに気づき「わたしは、本当に愚かだ」という陽子。一人ではなかったことに気付くところが、深く心に響く。
そして最後の陽子と景麒のやり取り。落ち着いた一言一言が、王になる覚悟を決めた心の強さがにじみ出ている。

いや、もう名シーンのラッシュです。読んでいて、そこかしこで胸が熱くなる。いや、名作と言われる所以だろうな。

人の上に立つものは、人の弱さ,愚かさ,醜さを知った上で、理想を掲げなければいけない。得てして弱さを知らない心強い人が上に立つと、ついていくものはしんどくなることがあるのだろう。王と言わずとも、組織のリーダー、グループの長になるなら、無自覚ではいられない。
さて、景王陽子は、これからどのような政をするのか。楽しみですな。

今回は一番のガッカリは解説。ネタバレし過ぎ。そりゃ再読の読者が多いのだろうから、その人たちには共感をもった思い出話的に読めるのでしょうが。初見の読者には勘弁してほしいわ。途中で慌てて読むのをやめましたよ。ネタバレ書くなら初めに断ってほしかったな。

『魔性の子』で、最後に高里が戻るとき、延王が迎えに来て洪水になったけど、その時は、1人呼び戻すために延王もひどいことするなあ、なんて思ったのですが、蝕ということで不可抗力だったのですね。合点

レビュー投稿日
2013年6月30日
読了日
2013年6月29日
本棚登録日
2013年6月30日
4
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