この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2)

  • 新潮社 (1998年7月1日発売)
3.41
  • (23)
  • (53)
  • (103)
  • (9)
  • (5)
本棚登録 : 525
感想 : 52
5

 季節の記憶を読んで以来、保坂和志が気になって気になってしょうがない。これはBOOKOFFで100円で買ったやつで読むのは二作目。
 この作品は芥川賞を受賞しており、近年(といっても10年以上前だが)芥川賞を受賞した作品の中でも個人的に納得のいくものである。

 主人公ぼくは小田原に到着するが、待ち合わせをした人とすれ違いに。その人を待っている間、ぼくはサークルの先輩だったある女性のところにお邪魔するが、、、
 この人の小説はデビュー作から全然変わってない、淡々とした日常の中での自身の考察、特に言葉への、を描いている。でもこの考察って言うのが、どーしてどーしてすごく鋭くてまあ退屈にならない。
 「閾」っていうのは、久しぶりに出会ったその女性の生き方、生活みたいなものを他人の視点から言葉にしたものなんでは。

 ストーリーや登場人物を持ち上げることで面白い話を作ってないとこに、今の文学にはないものがある、そして平凡な日常、性を感じさせない男女の関係が文学に成り得た事を私達に教えてくれる。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 保坂和志
感想投稿日 : 2009年1月7日
本棚登録日 : 2009年1月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする