K‐19 (角川文庫)

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1961年、ソ連の原子力潜水艦が放射能漏れ事故を起こした。
この実際の事故を元にし、ハリウッドで製作された映画が「K-19(監督キャスリン・ビグロー、主演ハリソン・フォード)」であり、その小説版が本書。
映画で語られている以上の内容はほとんどない、と感じた。
映画自体が非常に緊迫感をはらんだ名作なので、この本を読むなら素直に映画を見たほうがいいと思う。
映画が2002年当時に製作されたものだからか、本書における放射能や原子炉に関する知見は決して高いとはいい難い。
現在なら「放射線」と記すべきと思われる箇所を「放射能」としている点や、原子炉冷却に至る過程、被曝した兵隊たちの描写など、首をかしげるようなところもチラホラ。
放射線の強さや種類、核種など専門的なことも一切語られない。

個人的に、原子力関係の事故に関しては並々ならぬ関心を持っている。
これは、先の東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故が起こる前から、個人的に興味を持っていた。
K-19はもちろん、デーモンコアやウラル核惨事、東海村臨界事故、チェルノブイリ原発事故、スリーマイル島のメルトダウン、ゴイアニア被曝事故などなど、めぼしい被曝関連の情報をネットで読み漁っていた。
K-19の放射能漏れ事故は実際に起こったことだが、ソ連という閉鎖的な環境のためか、実際に何が起こり、どうなったのか細かいところまでは公開されていない、ようだ。
Wikiによると、事故に対応した技術仕官と下士官8名は高レベルの一次被曝により、8名が1週間以内に死亡したそうだ。
その被曝線量は個人差もあったとは思われるが、およそ45シーベルト。
たしか、5シーベルトを越すと半数の人間が、7シーベルトを越すと全ての人間が死に至る、くらいのレベルだったはず。
ちなみに、日本でも東海村臨界事故が起きているが、このとき最も強い放射線を浴びたOさんが受けた放射線は16~20シーベルトといわれている。
もう一人は推定6~10シーベルト。両名ともお亡くなりになられた。
この事故の際に直接被曝した作業員は三名で、最後の一人は1~4.5シーベルトの被曝をしたといわれている。
この三人目の方は、後に症状が回復し退院した。が、今どうなっているのかはネットで知ることはできない。
話が少々脱線したが、何が言いたいかというと、実話に勝るドラマはない。
本書はあくまでも「実話を元にしたフィクション」であり、実際のK-19がどんな事故を起こし、どのように対処したのかは正確に伝わっているわけではない。
きっと、本書や映画K-19を遥かに上回る、緊迫した、しかし無味乾燥なドラマが起こっていたのだろうと、そう思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般小説
感想投稿日 : 2013年3月13日
読了日 : 2013年3月13日
本棚登録日 : 2013年3月13日

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