文系学部解体 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月10日発売)
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文科省による国立大学への文系学部(特に人文学系)再編要請に対して、国立大学改革の実情や歴史、そして大学の役割等の観点から、その要請がいかに不合理なものであるかが、横浜国立大学教授の著者によって喝破されている。

社会で「役に立つ」学問の教育に力を注ぐべきと政府は煽るが、国が定めた「あるべき」像に隷従した果てに社会の進歩が見えてこないのは私だけではないはず。
本文でも言及されている通り、進歩とは前に進むことであり、「前」がどちらなのかが分かっていなければ逆走だってあり得る。人・コミュニティ・組織・地域・社会によって「前」は多様であるはずだから、一人ひとりが考え、対話し、うっすら見えた「前」に向けて行動していくことを促す場づくりが大学の役割だと思う。

社会で正解とされていることを疑ってみる目を養い、正解は一つではないこと、むしろ正解などないことを経験・学習したうえでそれぞれのフィールドに飛び立つ。このような人が本当の意味で社会で「役に立つ」のだと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教育
感想投稿日 : 2018年2月18日
読了日 : 2018年2月18日
本棚登録日 : 2018年2月18日

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