クレヨン王国 超特急24色ゆめ列車 (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社 (1994年11月20日発売)
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感想 : 6
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「林くんのハヤシライス」という言葉が頭に残っていて、20余年ぶりに再読。

主人公の「わたし」は、著者である福永先生本人。
童話作家である彼は、自然の中で、キジバトとおしゃべりしたり、オタマジャクシを育てたりしながら、暮らしている。
ある日、自然に帰したオタマジャクシたちが、日照りの危機にあうことを心配した「わたし」は、キジバトの「ブースケ」、オタマジャクシの指南役であった金魚の「A金先生」とともに様子を見に行く。
そこに、雨雲とともに現れた、24色の巨大SL。
それは、「わたし」の幼少期の友人であり、戦火で亡くなった「林くん」が、24色のクレヨンで描いた「ゆめ列車」だった。

「わたし」と「ブースケ」「A金先生」の、ゆかいなやり取り。
小さな命が自然の中で生きていく困難。
あざやかな色彩と童謡で描かれるメルヘンの世界。
そして、体験したものでしか書けない戦時中のリアルな描写と、その中で生きる人々の、優しさ、悪意、たくましさ、いじらしさ、希望、絶望などが、五感に迫ってくる。
単なる反戦ではない、ただ「林くん」の切なる願いの強さに飲まれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年5月21日
読了日 : 2022年5月21日
本棚登録日 : 2022年5月21日

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