金融に未来はあるか―――ウォール街、シティが認めたくなかった意外な真実

  • ダイヤモンド社 (2017年6月22日発売)
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原題は、『他人の金』w

金融機関が、今、なぜこうなっているのか?についての考察が書かれていたが、面白かったのは、冒頭にある「雄牛の寓話」。

雄牛の品評会の体重当てコンテストから、推計値平均が実際の体重に近い事を発見、後年、秤が壊れた主催者は、平均を答えにしようと考える、ズルがないようにプロセスが厳格化され、雄牛の生育についての情報公開、アナリストが出てきて、更に頭が切れる連中が、雄牛の状態を把握することには意味が無くてコンテスト参加者がどう推量するかを正確に見定める事だと言い、老農夫バフェットが不満をいうが、田舎もんと馬鹿にされる。バフェットの牛は丸々と肥えて良い牛なのに。 そして、雄牛の体重評価をめぐる規則を決めるための国際基準が作られ… 雄牛の体重を当てる人数がいなかったり少ないケースにもシカゴ大学の数学者たちが計算モデルを開発、他の推計値から計算が出来るようになり、畜産学についての知識は無用、強力なコンピュータさえあれば事足りる様に…
更に、体重当てのプロや推計の精度を上げられるようにアドバイスする顧問など一大産業が出来上がっていた。秤を直した方が安上がりなんて言える雰囲気はもう無く、これほど大勢の賢い人々の知恵を結集し恩恵にあずかれるのに?と。そして、雄牛は死んだ。誰もが餌やりのことをすっかり忘れてたから。


内容的には、金融の世界にいる人ならすっと入ってくる内容なのかもしれないが、門外漢からするとちと歯ごたえありだった。雄牛の寓話を詳細に追いかけて行く流れ。

そして、以下の一文。
「今日の預金、投資チャネルはどちらも、よほど腕に覚えがあって財布の紐の固い貯蓄者ではない限り、満足のいく実質リターンを得られない仕組みになっている。」


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年10月7日
読了日 : 2017年10月7日
本棚登録日 : 2017年9月23日

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