地元民の安全を優先し、原発停止を命じた柏崎市長の見事な奇手
中越沖地震に伴う、柏崎刈り原発の事故の後の東電のふるまい。
黒鉛が高く立ち上っている映像がテレビから流れている最中に、当店は「放射能漏れはない」と言った。結果として真っ赤な嘘だったことがわかった。「4人が消火に当たった」とも発表した。日本国中が、燃えている変圧器のそばに人がいないことを確認しているというのに、よく抜け抜けといったものだ。
本当は、現場がパニックになるような危機的な状況だったのではないか。変圧器が送り出している電気は、原発内の様々な機器を動かしている。その中に、制御棒はなかったのか。私たちが考えているより遥かに、全世界の核の安全に関わる人々は、今回起きた事の真実を知りたがっている。東電と政府は、日本国民に対してだけではなく、国際社会に対して、すべてを説明する義務があるだろう。その中で、またも当初ついた嘘が幾つも明らかになってくるのではないか。
細かないいわけよりも、ともかく「信用できない」と思ったのだろう。柏崎市の会田洋市長は消防法による機器の使用停止を命じた。私は思わず膝を打った。奇手である。
原子炉を止める権限は自治体にはない。しかし原子炉を動かすのに必要な周辺機器の使用をやめさせれば、原子炉が動かない。的を得んと欲せばまず馬を射よ、ということだ。
中央官庁の役人をたらし込んで安穏としていた東電は頭を抱えただろう。いや、莫大な対策費をばらまいて、実は地元も抱き混んでいたはずなのだ。3年前の選挙で、自公推薦の現職市長が相田さんに負けなければ。
しかし、東大工学部卒で安全に目をつぶることをしない合田さんが当選し、地元民の安全を何より優先するために、見事に一手を打ったのだった。
柏崎市の市民たちは今こそ「1票の重み」を感じているのではないか。
- 感想投稿日 : 2011年4月1日
- 読了日 : 2011年3月25日
- 本棚登録日 : 2011年4月1日
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