三島の長編小説の中では、マイナーな作品の部類に属するだろう。物語の中核をなしているのは、いわゆる嫁・姑問題なのだが、そこはハイ・ソサエティの世界での出来事なので、TVドラマなどとは大いに違った様相を(本質は変わらないのだが)呈することになる。なにしろ、準主人公(姑)の滝川夫人は、趣味の乗馬(かなりな腕前だ)と、宮様や各国の大使夫人を招いてのパーティに明け暮れているのだから。それにしても三島の描く女はうまい。絢子(嫁)も、滝川夫人も実に鮮やか。ただし、それは歌舞伎の女形が女を観察するかのようでもあるのだが。
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☆日本文学
- 感想投稿日 : 2013年9月24日
- 読了日 : 2012年7月6日
- 本棚登録日 : 2013年9月24日
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