1970年上半期芥川賞受賞作。50歳での受賞だから、文壇へのデビューはかなり遅い。著者にとって20数年前の、サイゴンでのBC級戦犯としての収容所生活が描かれる。ただし、回想形式ではなく、収容所での現在時として語られている。劣悪な環境の中で、しかも何時出られるかわからない状況での生活がリアルに冷静に語られて行く。そうした現実に対して、芝居を自分たちで創作し演じることで、虚構の対空間を造り出していくのだ。そこでの人間関係もまた一種の虚構の中にあった。女囚との疑似恋愛も、所内での複雑なホモセクシュアルの関係も。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2013年9月27日
- 読了日 : 2013年8月16日
- 本棚登録日 : 2013年9月27日
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