この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2)

  • 新潮社 (1998年7月1日発売)
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本棚登録 : 525
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1995年上半期芥川賞受賞作。仕事先の小田原でぽっかりと空いてしまった3~4時間を、大学の同級生真紀さんと、ちょっとビールを飲んだり、庭の草むしりをしながら語りあう―プロットを語ればこんなものだ。そこにはおよそ事件も、物語的な展開も何もない。語り手の「ぼく」は37歳、真紀さんは38歳なのだが、学生時代くらいまでは「現在」だけが凄まじいスピードで過ぎて行くが、ここにある時間は過去を持つ重層的なそれであり、流れもゆるやかだ。また、「動かされない駒」でありたいと願う「ぼく」には、すでに諦念のようなものさえ漂う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆日本文学
感想投稿日 : 2014年1月11日
読了日 : 2014年1月11日
本棚登録日 : 2014年1月11日

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