1995年上半期芥川賞受賞作。仕事先の小田原でぽっかりと空いてしまった3~4時間を、大学の同級生真紀さんと、ちょっとビールを飲んだり、庭の草むしりをしながら語りあう―プロットを語ればこんなものだ。そこにはおよそ事件も、物語的な展開も何もない。語り手の「ぼく」は37歳、真紀さんは38歳なのだが、学生時代くらいまでは「現在」だけが凄まじいスピードで過ぎて行くが、ここにある時間は過去を持つ重層的なそれであり、流れもゆるやかだ。また、「動かされない駒」でありたいと願う「ぼく」には、すでに諦念のようなものさえ漂う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2014年1月11日
- 読了日 : 2014年1月11日
- 本棚登録日 : 2014年1月11日
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