『桜の園』は、チェーホフの晩年に書かれ、いわゆる4大悲劇の最後を飾るもの。初演は1904年だから、日本との関連で言えば、まさに日露戦争の最中であった(もっとも、書かれたのはその前年だが)。そうして、革命の足音もしだいに迫りつつある頃だ。そのことは、劇にも濃厚に反映されており、登場人物ではロパーヒンが、まさにその体現者だ。一方、ラネーフスカヤ等の一族は、かつての富と繁栄の象徴であった桜の園を追われてゆく。その静かな交代劇は、「滅びの美学」ということになろうか。なお、3幕で幕を閉じる方が劇的ではないかと思う。
この作品(併録の「三人姉妹」も)は、とりわけロシア名前に苦労する。なにしろ、トロフィーモフの愛称がペーチャ。もっとすごいのがレオニード・アンドレーエヴィチで、彼は通常はガーエフと呼ばれているが、リョーニャという愛称も持っている。
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カテゴリ:
☆ロシア文学
- 感想投稿日 : 2014年4月19日
- 読了日 : 2014年4月10日
- 本棚登録日 : 2014年4月19日
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