桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1967年9月1日発売)
3.44
  • (43)
  • (63)
  • (139)
  • (24)
  • (3)
本棚登録 : 1173
感想 : 80
4

『桜の園』は、チェーホフの晩年に書かれ、いわゆる4大悲劇の最後を飾るもの。初演は1904年だから、日本との関連で言えば、まさに日露戦争の最中であった(もっとも、書かれたのはその前年だが)。そうして、革命の足音もしだいに迫りつつある頃だ。そのことは、劇にも濃厚に反映されており、登場人物ではロパーヒンが、まさにその体現者だ。一方、ラネーフスカヤ等の一族は、かつての富と繁栄の象徴であった桜の園を追われてゆく。その静かな交代劇は、「滅びの美学」ということになろうか。なお、3幕で幕を閉じる方が劇的ではないかと思う。
 この作品(併録の「三人姉妹」も)は、とりわけロシア名前に苦労する。なにしろ、トロフィーモフの愛称がペーチャ。もっとすごいのがレオニード・アンドレーエヴィチで、彼は通常はガーエフと呼ばれているが、リョーニャという愛称も持っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆ロシア文学
感想投稿日 : 2014年4月19日
読了日 : 2014年4月10日
本棚登録日 : 2014年4月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする