1989年下半期芥川賞受賞作。作者はこの時期としてはコンピューターの本質に精通していたものと思われる。「シミュレーション」が一種のキー・コードとして小説を構成しているが、そこで問われているのは、やはり人間とは何かということになるだろう。また、副次的な素材としてサブリミナルが扱われているが、これについては消化しきれないままに小説の中に埋没した感が否めない。20年前であっただけに、選考委員たちにコンピューターという素材と、それを巧みに取り込んだこの小説の新しい可能性を実際以上に感じさせたのではないだろうか。
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2013年9月26日
- 読了日 : 2013年7月6日
- 本棚登録日 : 2013年9月26日
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