表層生活 (文春文庫 お 16-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (1993年4月9日発売)
2.87
  • (1)
  • (0)
  • (10)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 67
感想 : 9

1989年下半期芥川賞受賞作。作者はこの時期としてはコンピューターの本質に精通していたものと思われる。「シミュレーション」が一種のキー・コードとして小説を構成しているが、そこで問われているのは、やはり人間とは何かということになるだろう。また、副次的な素材としてサブリミナルが扱われているが、これについては消化しきれないままに小説の中に埋没した感が否めない。20年前であっただけに、選考委員たちにコンピューターという素材と、それを巧みに取り込んだこの小説の新しい可能性を実際以上に感じさせたのではないだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆日本文学
感想投稿日 : 2013年9月26日
読了日 : 2013年7月6日
本棚登録日 : 2013年9月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする